ええまちづくりのネタ

インタビュー
地域支援。行政、生活支援コーディネーター、住民、それぞれの立場でどうすればいいのか?

さわやか福祉財団では、高齢者だけではなく誰でも自由に来て自由に過ごすことができるそんなふれあいの居場所や、助け合いのある地域づくりを進めています。平成27年施行改正介護保険法の中に位置付けられた助け合いを広めるため、その基盤づくりである生活支援体制整備事業推進への協力と、「生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)」への支援プロジェクトも展開し、各市町村での勉強会や生活支援コーディネーターの情報交換会等を手がけられている翁川さんに、地域支援のコツについてお話をお伺いしました。

翁川由希さん
社会福祉士、精神保健福祉士
社会人になってから再度学生に戻り福祉を学ぶ。知的障がい者入所更生施設の生活支援員(=介護職)、地域包括支援センター(社会福祉士)を経て、平成26年8月から、公益財団法人さわやか福祉財団ふれあい推進事業担当リーダーとして活動している。現在の担当地域は北海道、滋賀県、京都府、大阪府。さわやか福祉財団が理念として掲げる「新しいふれあい社会の創造」の実現に向けて日々活動中。

「助け合い」のある地域づくりを応援しながら

2015年に改正された介護保険の地域支援事業中核には新しい介護予防・日常生活支援度総合事業が位置づけられました。総合事業の大きな目的の一つである地域住民相互の支え合いを広げるために、各市町村は平成29年度中に生活支援体制支援事業を実施せねばならない状況にあります。北海道、大阪府、京都府、滋賀県の担当として関わっていますが、各地苦戦していることを感じます。各市町村の実態として生活支援コーディネーターの配置やコーディネーターと共に動く協議体の編成を含め、なかなか進んでいない焦りが出始めている気がします。

新しい総合事業の中では、専門職以外が担う生活支援の領域を多様な主体、特に住民の互助のもと進めていこうとするB型が位置づけられました。初期の頃につくられたB型サービスを見てみると、すでにあった有償ボランティアの仕組みに対して、利用者が感謝の気持ちを表した謝礼を行政が補助を充てる、そんな仕組みが増えたように思います。住民が主体的に助け合いの気持ちで行っていた仕組みを壊さずその活動継続を応援するような、本来あるべきB型というよりは、B型サービスを作らなければいけないので、とりあえず、形にはめましたという自治体が多かったのではないかと感じています。

「住民主体」や「コミュニティ」という言葉が、この2年くらい取沙汰されていますが、これまで、住民に対して公平にサービスを提供することに徹してきた行政にとっては住民主体の活動を協力に支援することを求める新しい総合事業は、行政にとっては馴染みがないことだと思います。住民主体の仕組みづくりというのはこれまでの行政と住民との距離感とは異なり、行政にとって未知のことではないでしょうか。しかも、総合事業も生活支援体制整備事業の推進も各自治体の指針に委ねられている。行政が地域団体、市民団体とどれくらいの距離感で、どう協働し、どう進めていくのかについてはまだまだ手探りという印象をうけます。

実施主体である市町村も手探りだし、市町村をバックアップしなければいけない都道府県も手探り。何をどう支援して、取組めばいいのか、みんなが模索しているのが今の状態だと思います。

生活支援コーディネーターの育成に関する各都道府県としては、生活支援コーディネーターの養成研修を国のカリキュラム通りに伝達研修をするところもあれば、完全にオリジナルの研修を行っているところもありますが、多くの自治体ではそこに地域情報を付加して実施をしています。以前は養成研修をやって終わりという所が多かったですが、平成29年度中に実施の生活支援体制支援事業がなかなか進まない焦りもあり、また生活支援コーディネーターから寄せられる課題に応えるためもあり、各地の好事例を伝えたり、情報交換を行ったり生活支援コーディネーターの実践に活かすことのできるような支援が各都府県で行われています。

 

「出番」を伝える

これからの超高齢社会においては、今地域に既にある活動だけでは対応しきれないことも出てくるでしょう。だからこそ行政は、地域住民の「行政に任せておけば大丈夫。それは行政の仕事。」といった考え方を変えて、行政も住民も共に地域のことを考え、住民自らが必要と思ったこと、やってみたいと思ったことが活動に繫がるように状況を変えたいと切実に考えているように感じます。気持ちがあって地域づくりを頑張っている住民は非常に貴重。既存の活動を大切にしたい、育てていきたいと考える一方で、これから訪れる少子高齢化という深刻な地域状況を乗り越えるために、今地域づくり、街づくりに、参加していない人たちにどう動いてもらうか、参加してもらうのかについて明確な手法はありませんが、重要な課題だと思っています。

その点、大阪府内でも、今、直接は街づくりに参加出来ない人にも地域づくりに寄付の形で新たに参加してもらえる仕方を提示したり、地域通貨を使って、社会的弱者と言われる立場の方々の就労を応援し、地域で循環する仕組みを考えている方もいたり、大変面白い取組みも出てきています。

当財団は、ふれあいの居場所を拠点とした助け合いの考え方が基盤にあるので、誰でもいつでもその場所に来ることができて、その人に出来る事があることに気づく。人と人との関わりの中で自然と支えあえることを広げてきましたし、これからも広げていきたいと思っています。そうしたふれ合いの場が歩いていける地域の中にあることで、ご本人が気づいていないけれど地域で活躍できる力を持っておられる方がたくさんいることに気づくこともできると思います。

地域の互助という点では、大阪は土地柄なのか、今は地域での活動につながるようなことはしていないけれど、持っている力や特技、今までの経験がおありで、心の中で「よっしゃ、地元のために何かやろうか!」と思えば、動きだす勢いを持っている方が多い印象があります。府内一部ではありますが、住民さんを対象にした勉強会にご一緒してそう感じています。

また、もう1つ思うのは、住民自身が、自分たちの参加、自分たちの力が求められているということを知らないのではないか?ということ。これまでは「行政から提供されるサービスを使うのが当たり前」という意識が行政にも住民にもあったと思います。これからの超高齢社会はそれではいけないんだ、立ち行かなくなるのだということを行政も伝えていない、だから住民にも伝わっていないのだと思います。伝えていないから知らない。でも事実を知ったら、自分ごとと受け止め、考え、動き出す機運が出てくるのではないでしょうか。

 

本質を理解したチーム作り

各地で生活支援コーディネーターを対象とした勉強会などに参加させて頂いて感じるのは、行政とコーディネーターの間に壁があるなということ。事業として委託・受託したと考えるとそうなるのでしょうか。この事業の本質は、助け合いのある地域づくりですが、その本質的な理解が行政や生活支援コーディネーターには落ちておらず、例えば協議体が会議体になってしまい、お互い何に向かってどう動いていいか分からないまま、3ヶ月の1度の会議だけが形として動いてしまっている、とか、6か月で5か所の居場所を作れとかいう制度の理念や地域の実態と合わない状況が生まれているように感じます。

事業の本質は地域づくりだから、地域住民に働きかけていかないとだめ、ということを理解している地域は、座談会や勉強会、フォーラムといった地域住民への説明の場を作ったり、小さい単位で民生委員さんの集まりや町内会や自治会といった地縁団体に対して説明をしたりしています。そういった地域への周知が進み、住民自身が考え動き始めるとそれが第2層協議体の編成にもつながっていくように思っています。この制度、事業をどう捉えているか、行政委託事業として投げて終わるのか、行政や関係者が共に考え行動しているのか、関係者の認識の差が、事業の進捗度や住民の動きにも顕著に出ているように思います。

とある自治体では、地域住民が主体となって生活支援のボランティア活動を実施していた団体が複数あり、フォーラムにそれぞれ代表者に登壇して頂いて活動を紹介して頂きました。一つ目は思いある方が中心に立ち上げたNPOの活動と、二つ目に民生委員や自治会長さんといった地区の福祉委員の皆さんが互いに手を取り合って地域のことを良くしていこうと地縁団体が立ち上げた生活支援の活動です。フォーラムではそれぞれの実践紹介を通じて、今、こんな風に地域のための助け合おうと世の中全体が動き始めていることを共有し、「このような活動に参加したい人はどれくらいいますか?」とか、「第二層の協議体の立ち上げに向けた地域での勉強会を検討していますが関心ありますか?」とアンケートで呼びかけ意思確認をし、次の勉強会に繫げました。

生活支援コーディネーターというのは、地域支え合い推進員という名の通り、支え合いを推進する役割を担っているわけですが、政令指定都市や中核市のような大都市になると、大きなエリアに1人で役割を果たせるのか、というと出来ません。やはり一緒に動けるチームである協議体が必要だと思います。事業の主旨を理解し、住民が相互に支え合える地域をつくろうという目標を共有し、意思疎通ができ信頼しあって一緒に動けるチームを作ることもしっかりと進めなくてはならないと思っています。

先ほど事例にあげたフォーラムには200名以上の方が集まって下さったのですが、フォーラムの開催当時、30万人を超える人口を抱えながらコーディネーターは1名のみ、協議体も立ち上がっていませんでした。当日は参加者に対して、「地域内の助け合いの活動に参加したいと思った人は私に声をかけて下さい」と呼びかけたわけですが、何十万人の「何かやりたい」という反応を1人で受け止めるというのはやはり難しい。フォーラムで全市に大きく呼びかけていくというのは、住民への働きかけの方法の1つとしては有効ですが、生活支援コーディネーターと共に動くチームである協議体という基盤作りも含めて取り組んでいく必要があるように思います。

今までフォーラムやシンポジウムというのは単発のイベント的な要素が強かったかもしれませんが、せっかく広く住民に周知し、住民がやる気になっているのに、その思いを次に繋げていく具体的な戦略を持たないのはもったいない。記名式アンケートでフォーラム参加者の次の企画への参加意思を確認し、各2層圏域での協議体編成に向けた勉強会につなげたり、あるいは地域での助け合いを創出するための勉強会につなげたり、次の展開にうまくつなげていくこともフォーラム等を企画する際には視野に入れて頂きたいと思っています。

生活支援コーディネーターが先頭に立って協議体というチームを作ろうとする時、人口規模の小さい自治体では誰がどんな活動をしているのかだいたい把握できていたりおおづかみで協議体構成メンバー候補者を集め勉強会を重ねていくやり方で比較的チーム作りがしやすいと思います。一方で、大都市では、この地域のこんな団体の、(あて職ではなく)こういう思いを持って一緒に動いてくれる人に協力してほしいと目的と具体的な人物像を説明したうえで各団体に参加協力を呼びかけたり、すでに地域で活動している人を通じて、「こういう人が周りにいたら連れてきてね」と、大づかみで声をかけ勉強会をやってみるというのも方法だと思います。できるところからの動きだしが、地域の人材気づくことにもなると思います。大づかみで繋がった人経由で「こういう人にも仲間に入ってほしいよね」と活動イメージや協力者のイメージを話し合いながら、それぞれが手分けして声をかけて輪を広げることもできると思います。

全国各地で、まずは「一緒にやるよ」という気持ちのある人達で小規模で集まって、そこから周りに声をかけて大づかみで勉強会をやってみて、「協議体ってどんな役割?」「この地域にどんな活動が足りない?」「それにはどんな人がいたらいい?」とみんなが話し合って、それによってもう1回り大きく輪を広げたり、協議体の先にある目的にあわせてメンバーを絞って行くというやり方をしている所もあります。

立ち上げの期限が迫る中で、すでにある社協の支部組織やまちづくり協議会、地域ケア会議、包括の運営する会議体、各地区にある既存の会議体をとりあえず2層協議体にスライドさせているケースも多いですが、本当に地域の助け合い広げようという考えを持っているのか、生活支援コーディネーターと思いを共有して一緒に動ける人たちなのかということを、一度しっかりと検討し、既存の組織100%に協議体の機能を課すのではなく、組織力や経験を活かし足し引きしながら組織を強化して、協議体としての機能を果たせるようにバックアップしていけたら良いのではないかと思っています。

それにはやはり、生活支援コーディネーター、行政、包括、社協等のコアメンバーがまずはしっかりとこの事業の意義、目的、我がまちでの取り組み方を協議し、地域で勉強会などを通じて住民を巻き込みながら進める必要性を感じます。

ある市では、地域包括ケア会議を1層協議体にあて、圏域ごとのエリア会議を2層協議体にあてるという方針で進めていましたが、このままでは協議体が形骸化してしまうという危機感を感じ、どうあるべきかを0ベースで考えるために関係者での勉強会から始めました。やってダメだったらシフトチェンジする勇気も必要だと思います。

行政にとって「住民主体」という住民の主体性を引き出し応援する、ということは新しいチャレンジだと思います。それなのに既存のものをそのまま置き替えプラスαの負担をかける所が多いように感じています。本来はこれまでの行政主導の思考ではなく、地域から出て来た意見や考えにあわせて、支援方法を作り直す柔軟さが必要とされていて、新しい地域支援事業というのは今までにない行政の考え方を試したり、新たな行政と住民との関係を築くことができたり、行政と市民が一体になって地域のことを一緒に考えることのできる“チャンス”なのだと思います。

 

「出来ることから」「成功体験を共有する」「住民を信頼する」

全国の状況を見渡してみると、市町村によって協議体の設置にかなりのバラツキが出てきています。協議体はなく第1層の生活支援コーディネーターだけ配置とか2層だけとか、逆に協議体だけが話し合いを継続して生活支援コーディネーターがいないなどパターンも多様になっています。本来は、1層協議体が機能するためには2層協議体が動き出して地域の課題が見えてこないと役割が見えてこないのではないか、と思うのですが「役割が分からない」と、一同暗中模索しながらひたすら勉強会を繰り返す協議体や形式的な会議を定期的に行っている協議体もあります。大きな都市で「第1層協議体編成はしんどい」と悩んでいるのであれば、第2層の協議体を先に動かしながら、その課題を第1層協議体に吸いあげて第1層協議体の役割を明確にしていくのも良いと思います。第2層協議体もそれぞれの圏域で地域性が全く違う。「出来ることからやる」ということと、「住民さんと成功体験を共有する」ことが住民の主体性を引き出し、自主的に継続するコツだと思います。何か1つでも地域の課題にみんなで取り組むことが出来、達成感や喜びを共有できると住民も生活支援コーディネーターも変わる。地域が自信を持つ、出来ないと思っていたのは思い込みで、地域にはこんなにも力があるということを住民自身が気付くと、地域住民を信頼し、全てをひとりで抱えずに相談したり託せるようになる。コーディネーター自身も変わります。

これまでにお会いした方の中で、太子町の取り組みにはいつも驚きや学びがあります。生活支援コーディネーターの貝長さんは住民さんをとても信頼していて「住民さんにはすごい力があるんやで!」と。自分がある程度答えを持って住民に対して形だけ話をしにいくのではなく、「○○さんの考えを聞きたい!」「聞きにいって来るわ!」というスタンスです。地域住民に敬意をもって、その力を信頼しているし、地域住民が出した考えを尊重できる。住民さんに相談しに行ったのに「参考にします」とさらっと流してしまう方も残念ながら少なくないですが、貝長さんは「○○さんもこう言ってくれていたしこれでいこう!」と言い切れる。そしてまた、行政の担当者も地域の方々を信頼していて主体的な動きを極力邪魔せずそのままの形でバックアップしようという姿勢で応援している。太子町自体が行政、包括、社協、生活支援コーディネーター、地域団体や住民の皆さん…まち全体がいいチームになっていると思っています。よその人に言わせると「太子町だから(人口規模的にも、大きさ的にも、役場の機能的にも)できるんだ」と言われがちですが、大都市であっても、大括りにせず小さい単位で積み重ねていけば、その結果を第1層にまとめることができると思います。大きい自治体では出来ない、人口規模が大きいから出来ないではなく、巨大な第1層圏域で考えるから出来ないのであって、住民自身が自分ごととして考えることのできる生活圏域で人を繋げて考えていけば必ず出来ると思います。

 

行政の本気度が地域を変える

住民主体の支え合いを地域づくりに活かそうと思う時、行政担当者、生活支援コーディネーター自身が、地域には、住民には力があると信頼する。地域づくりを行政や専門職がやるものではなく、そこに住み暮らしている住民が考えを持ち答えを持っていると信じられているかどうか、そこがベースだと思います。その上で、住民に伝え、住民自身が考え行動することができるようにバックアップすることが大切と思います。

各地で協議体の編成や助け合いを広げるため、長年地域で生活支援や介護予防につながる活動をされてきた地元団体の実践紹介を含む研修やフォーラムなどが開催されていますが、「初めてこの活動を知りました。地元でこんな素晴らしい活動をしている人(組織)がいたなんて!」とびっくりする方も多く見受けられます。先人に学び、今あるものをしっかり評価することは非常に重要で、実践者がどうやって今の活動に行き着いたのか紐解いて理解していくことは後に続く方の大きな糧になります。行政や、生活支援コーディネーターの間でも「地域資源の見える化」はよく言われていますが、我がまちの活動が見える化されるところまではどこでもされていて、そうした事例に学び、次にそれをどう活かすか、広げるかを考えていくことが今後ますます必要になると思います。

新しい地域支援事業の推進に向けた各地の取り組みに関わる中で、これまでの行政主導の事業推進とは逆の「住民主体」という概念をおっかなびっくり捉えている自治体が多いことを実感しています。同時に「丸投げ」や「任せきり」が住民主体と思っている印象も受けます。地域住民がやれそうなことをやれるように応援する。それには、そう思えるように時間をかけた働き掛けも必要ですし、気持ちを育てることも必要だと思います。

住民が地域にとって「何が課題」「何が必要」と思っているのか、住民同士の話し合うことのできる場を設定すること。住民の生の声を聴き、住民自身が我がまち我が地域のことを考えることができるだけの情報、まちの状況を正しく伝えることも必要と思います。生活支援コーディネーターに丸投げではなく、行政も共に地域に対して心を砕く姿勢、言い換えるなら行政の本気度が、住民の主体性を引き出すことにつながると思います。

 

住民ワークショップのススメ

どうやって見えてこない地域の情報を見える化するのかというと、町内会や自治体という小さいエリアでワークショップをやると色々な情報が集まってきます。地域の特性などの基本情報を共有し、地域包括ケアシステムの必要性や新地域支援事業の意味、住民相互の助け合いの意義、を共有し、どんな地域にしたいか、どんなことが足りないか、どんなことがあったらいいかを話し合っていくと、「それであればあそこの○○さんがやっている」など、人が集まるとそこに情報が集まって、ウェブなどでは到底見えない情報が共有されます。つい1層からの大きな単位で地域づくりを考えがちですが、2層圏域の小さいエリアから勉強会を積み重ねていく、2層圏域の活動をいかに大事にしていくかがカギだと思います。

生活支援コーディネーターは、今、孤独だと思います。行政から「この期間にこれだけのことをやれ」とミッションを託され、何をしていいのか、どこから始めていいかも分からない。どうやって地域に入っていったら良いのだろうと思っている人もいると思います。大阪府内では、社協の方が生活支援コーディネーターも担っておられるケースが多いので、その場合は以前からの活動の蓄積で地域がどれだけ力を持っていて、どこにキーパーソンがいるかは分かると思いますが、新規に役に着いた方はことさら孤独だろうと思います。その場合には「教えて」というスタンスでどんどん小さなエリアから話をしていけば、住民の方がニーズも情報も持っているはず。わらしべ長者のように次から次へと情報を繋げて立体的に組み立てていけるのではないでしょうか。

当財団としては前述のとおりは助け合いを紡いでいくには「住民ワークショップが基本」と考えています。顔の見える相手が困っている、「あなたが困っているなら力になりたい」助けたいと思うのが人間の本質だと。コーディネーターの仕事も同じで、関係性もない知らない人が上から目線で勉強会をやるから来て、助け合いをやってと言っても「なんで?」と反発を買うだけですが、共に地域のことを知り、課題に気づき、一緒に学び、地域をよくするため支え合うためにどうすればよいか「生活支援コーディネーターって人も行政も考えてる、頑張っているんだ」、ということを知ったら、私達もやれることをやろうと地域住民も力を貸してくれるのではないでしょうか。

一点気になっていることは、こうした地域でのワークショップや勉強会等を企画していて気を付けたいと思うのは行政の縦割りです。地域は1つなのに行政の縦割りの弊害で、色々なセクションの事業計画が横の連携がなく地域に集中している現状があります。今であれば、地域福祉計画策定のための住民座談会と、生活支援体制整備事業推進のための住民勉強会などがその例です。小規模な自治体であれば行政の担当課、担当者が情報を集約し地域への働き掛けを1回で済むのでしょうが、地域の規模が大きくなるにつれて、事業ごと担当ごとに地域へ働きかけたりして地域住民が疲弊してしまっている様子も感じます。可能な限り、生活支援コーディネーターが情報を集約し住民に語り掛けることができるよう、行政担当者が庁内連携を図り、地域の負担を減らすために調査を一緒にしようとか、会議の時間の有効活用なども図っていけると住民の負担が軽減され、似たような事業に翻弄されることがないようにして欲しいと願います。

 

生活支援コーディネーター同士の繫がりを

生活支援コーディネーターには兼務の方が少なくありません。地域包括支援センターの三職種が生活支援コーディネーターを兼務している例もあります。そうした場合、生活支援コーディネーターとして助け合いを推進するという役割と、もう一方の業務を推進する場合の二つの顔を一つの人が持つことになります。二つの業務を整理しようという本人も大変そうです。隣の地域の生活支援コーディネーターはどうやって任務を進めているのか、そんなことを聞き合える生活支援コーディネーター同士のネットワークや情報連携に割ける時間も不十分。それがますます孤立しやすい状況にしているように思います。

最近では生活支援コーディネーター有志が集まって自主的に行われている情報交換も増えましたが、北海道の十勝では、とある社協の事務局長が、この事業が始まると知った時に「生活支援コーディネーターとしての役割はこれまで社協が積み上げてきた地域福祉そのもの」と考え、若手職員の育成も兼ねた自主的な勉強会を一昨年立ち上げました。当初は事務局長が呼び掛けましたが、少ししてから運営は生活支援コーディネーターが引継ぎ今でも自主的に主体的に、悩みの共有や課題解決に向けた情報交換や必要な知識やスキルを取得するための勉強会が実施されています。必要性を感じた生活支援コーディネーター同士がつながり、励まし合うだけではなく切磋琢磨していける関係性は他の地域でも広がると良いな、と思います。

 

プロボノへの期待

プロボノプロジェクトは期間限定の支援ではありますが、これがきっかけとなりその後の地域の助け合いや支え合いの基盤として地域に根付いてほしいと思っています。地域のために「何かやってみたい」と思っている方が動き始めるきっかけとしてプロボノへの参加が増えることに期待していますし、外部のプロの力が加わることで、足りなかったスキルや情報を得て、より広く人が繋がり、共に地域の課題を考え、今まではなかった助け合いの輪が広がっていくと良いなと思っています。

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