ええまちづくりのネタ

インタビュー
「先輩団体」である社会福祉協議会の目線から考える、地域団体による活動の盛り上げ方

大阪ええまちプロジェクトは、(1)プロボノと一緒に課題解決を進める「地域団体のチャレンジ」と、(2)地域活動の経験が豊富な先輩に相談できる「先輩団体からのアドバイス」の2本立てです。

今回は「先輩団体からのアドバイス」の相談先である4団体のうち、大阪府社会福祉協議会の事務局長・森垣学さんと、地域福祉部 大阪府ボランティア・市民活動センター主任・青木淳さんにお話を伺いました。

2015年4月から始まった、「介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」)」のもと、様々な地域団体で住民主体の介護予防・生活支援サービスの充実が図られています。開始から2年を経た総合事業の現状はどのようになっているのかについてもお聞きしました。
左:青木さん、右:森垣さん

Q.大阪府社会福祉協議会の活動として普段、様々な地域団体と接する中で感じている、地域支援の上手な進め方やコツなどがありましたら、教えてください。

青木さん:
課題は色々とあると思いますが、まずは現状行われている活動の中でキラッと光る「宝物」を見つけることでしょうか。普段から地道に活動されている方もいますから、その活動にスポットを当てて支援していくのがいいでしょうね。さらに「場づくり」。例えば、講座や研修を開き、住民に介護について学んでもらう場をつくることが、地域での活動をスムーズに進めることに繋がると思います。

青木淳さん
福祉とは関係ない仕事に就いていたが、社会福祉士の国家資格を取得後、大阪府社会福祉協議会へ。福祉人材センターで人材確保の仕事を経験し、現在ではボランティアセンターの主任を務める。

森垣さん:
場に集まった際、できていないことを嘆くのではなく、次に繋げるための場にしていかないといけませんね。

森垣学さん
大阪府社会福祉協議会で事務局長を務める。昭和61年に入職後、様々な業務を経験し現在のポジションに。大阪府社会福祉協議会は、府内全ての市町村社会福祉協議会及び多くの社会福祉施設、福祉団体やボランティア等を幅広く組織化する団体。。

Q.課題は色々あるとのことですが、具体的にどんな課題があると思われるでしょうか。

青木さん:
一番大きいのは人手不足でしょうね。長く活動をされている方はこだわりを貫かれるとともに、新しい人が入って来ることによる変化を恐れる場合もあります。繋げる、続けるためには、新しい人の考えも大切ですから、積極的に受け入れていってほしいですね。
また、運営や活動がうまくいっている団体が、成功要因や事例を開示していくことで、新たな試みに対する抵抗がなくなっていくのではと考えます。

Q.「大阪ええまちプロジェクト」の「先輩団体からのアドバイス」は、経験豊富な団体からアドバイスをもらえるという相談支援です。例えばどんなことを相談できるのでしょうか。

青木さん:
地域団体の定義は多岐にわたっていて、町会や自治会、ボランティアグループ、NPOなど様々です。私達社会福祉協議会は、住民主体の活動を推進する団体なので、団体同士を繋ぐことや、具体的な実践事例を紹介することなどができると思います。

森垣さん:
住民主体という視点からすると力になれることも多いですね。地域団体でサービスB(注1)をどのようにするかなど考えられているのであれば、成功されている団体を紹介したりすることもできますね。

Q.市町村社会福祉協議会に生活支援コーディネーターの仕事を委託する自治体が多いとお聞きしますが、生活支援コーディネーターに求められる役割や意義についてはどうお考えでしょうか。

青木さん:
生活支援コーディネーターは介護保険の枠組みの中で生まれているもので、高齢者の社会参加の促進や地域に不足する生活支援・介護予防サービスの創出が主な役割です。生活支援コーディネーターは兼務されていることも多いので、サービスづくりまで手が回らないことも多いようで…。今後の課題ですよね。

森垣さん:
行政と生活支援コーディネーターが手を取り合い、協力していくことは大切です。行政の方は地域の細かいことまで把握できていないことも多いですが、地元に密着した生活支援コーディネーターなら顔が見える関係を築きやすく、地域住民も心を開きやすいでしょう。両者が協力しあって、会議を開くほか、SNSで情報を共有しあうのもいいと思います。

青木さん:
住民が自発的に地域の困りごとを解決する活動をしたり、居場所づくりをしたりすることは、現実的には難しいことです。家事援助や移動の手伝いなど、地域の方のためにやりたいという想いを持っている方がいても、なかなか動きづらいです。そこで生活支援コーディネーターのバックアップが大切になってきます。

Q.生活支援コーディネーターが支援していく地域団体はどのような役割を担っていくでしょうか。

青木さん:
これまでの介護は、介護保険によるサービスの提供で行われていました。さらに介護保険以前は家族が介護をしていました。生活支援コーディネーターが生まれたことで、地域団体によるサービスの提供も増えると考えられます。それが地域づくりにも繋がっていくのでしょう。

森垣さん:
今後、どれだけ生活支援コーディネーターの認知が広がっていくのか、地域づくりに何が芽吹いていくのか、期待されますね。

青木さん:
地域住民主体のサービスを行う地域団体の中には、すでに1年ほど実施しているところもあるようです。実践が確立してきているなか、結果だけではなくプロセスを示す必要があると感じています。

森垣さん:
成功事例を聞くことは割とありますが、実際にみんなが聞きたいのは悩んだことや失敗したこと、それをどうやって乗り越えたかということです。何か取り組みをしたいと考えている団体の方には、成功されている団体への現場視察や対話などを勧めるようにしています。

Q.「大阪ええまちプロジェクト」について、どんなことを期待されますか?

森垣さん:
現在全国レベルで、ボランティアに積極的なのはシニアが中心です。プロボノ(注2)をされているのは20代から40代の方が多いと聞きました。参加していただくことで、社会福祉に対しての理解が深まり、広がっていくといいなと思いますね。

青木さん:
生活支援コーディネーターと同様に団体と利用者を繋げる立場である、地域ごとのボランティアセンターでは研修会等の開催を多く行なっていますが、そこで扱うテーマは、地域団体のマネジメントであることが多いんです。資金面を充実させるためのファンドレイジングなど、プロボノの方々が関わってくれたらと思いますね。組織内を活性化させるため、ファシリテーターとして入っていただいて、会議や議論をまとめてもらえるだけでも嬉しいです。SNSの利用方法がわからないといった声もあります。マニュアルづくりについても支援いただけるとありがたいのではないでしょうか。

Q.地域団体に向けて、メッセージをお願いします。

青木さん:
地域課題を解決するというテーマについても、重たく考えず「ワクワク感」を持って取り組んでもらいたいですね。楽しみながらでないと続かないし、仲間を増やしていくこともできませんから。自分達の活動を大切にしながら、自分たちだけで難しいことはプロボノの皆さんの応援を味方にしていくと良いと思います。

森垣さん:
楽しみながら、真剣に向き合ってもらいたいですね。プロボノの方は客観的な目線もあると思います。肩の力を抜いてくれるメンバーが一人でもいれば、取り組みも上手くいくのではないでしょうか。飲みニケーションも効果的かもしれません(笑)。

青木さん:
散々議論した後に飲みに行って。そこでも議論にはなるでしょうけど、楽しいですよね。

森垣さん:
シニアの農業団体が、収穫のたび飲み会を開くのに、健康診断の数値が良くなっていたとか(笑)。そんな話も聞きます。楽しむって大事ですよ。

青木さん:
楽しんでいても、課題解決や地域を良くするという想いはみんな同じ。好きだからやってんねん!っていうスタンスなら、続けていきやすいと思います。

注1 訪問型サービスBや通所型サービスBなどのことを指す。主に、住民主体による支援のこと。
注2 ビジネススキルや専門知識を活かし、社会的課題解決に取り組むボランティアのこと。

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