地域包括ケアの考え方と介護保険制度の新しいしくみ

「地域包括ケアシステム」というビジョン

地域包括ケアシステムとは、独り暮らしであっても、認知症になっても、中・重度の要介護状態となっても、住み慣れた地域でいきいきと暮らせるために、医療、介護、予防、および日常生活支援を一体的に提供するための地域づくりのためのシステムのこと。
超高齢社会に向けて目指すべき社会ビジョンとして掲げられています。

地域包括ケアシステムの姿ー病気になったら「医療」(●病院●日常の医療)・介護が必要になったら「介護」(●在宅系サービス●介護予防サービス●施設・居住系サービス)・いつまでも元気に暮らすために「生活支援・介護予防」(老人クラブ・自治会・ボランティア・NPOなど)。地域包括ケアシステムはおおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(中学校区)を単位として想定

20世紀=短命社会「病院の世紀」:「治す医療」「病院単独で提供される医療」長期入院(病院の中で管理された人生の最後)施設に収容する福祉、豊富な若年労働力、家族と同居する高齢者、専門職依存型のサービス提供、“支え手”と“受け手”との分離・固定化(地域コミュニティの衰退)。21世紀=長寿社会「地域包括ケアの世紀」:「治し、支える医療」「病院を含む地域全体で提供される医療・介護」時々入院・ほぼ在宅(自分らしい生活の中での幸福な人生の最後)地域に展開する介護、希少な若年労働力、独り暮らしの高齢者、地域住民参加型のサービス提供、“地域支え合い体制づくり”

*大阪府専門部会報告書“大阪府における介護施策の現状と課題、対応の方向性について”より引用

介護保険の給付も時代に合わせて変化

地域包括ケアシステムの構築に向けて、介護保険からの給付も変わります。
特に大きく変わるのが、要介護度が比較的軽度な「要支援」の人に対する支援策として、介護の専門事業者が提供するサービスに加え、住民主体のボランティア活動を位置づけ、住民主体の活動に対して補助(助成)金で支援する取り組みが始まったことです。

 改正前→改正後:①介護給付(要介護1~要介護5)→介護給付(要介護1~要介護5)<これまでと同じ>、介護予防給付(要支援1・2)訪問看護・福祉用具等→介護予防給付(要支援1・2)訪問看護・福祉用具等<これまでと同じ>、訪問介護→地域支援事業(既存事業所による訪問介護、NPO・民間事業者等による掃除・洗濯等の生活支援サービス、住民ボランティアによる ゴミ出し等の生活支援サービス。<移行>※住民主体の地域の助け合い活動など多様なサービスを補助する仕組みが新たに導入  通所介護→既存事業所による機能訓練等の通所介護、NPO・民間事業所等によるミニ・デイサービス、住民主体の交流の場・コミュニティサロン<移行> 

 

社会参加と地域のチカラで介護予防