見て知ろう となりのええまち

町どうしが競い合う“だんじり文化”が介護予防推進の原動力

2023年2月28日

岸和田市

地域の現状と課題

コロナ禍で停滞した地域活動の再開が大きな課題

岸和田市は、産業や市街地が広がる沿岸部から自然豊かな山間部まで奥行きがあり、中心部は歴史ある寺社仏閣が立ち並び、風情ある城下町の香りが今なお残るまちで、令和4年11月1日に市制100年を迎えました。令和4年4月1日現在、人口は約19万人で、高齢化率は28.1%です。

岸和田市が重点を置いている施策の一つは、住民の方々が中心になって主体的に実施できる「いきいき百歳体操」です。体操時間は30分程度で、高齢者の健康を維持する柔軟性運動・筋力運動・バランス運動があり、準備運動・おもりを使った筋力運動・整理体操で構成されています。椅子に座って、ゆっくりとした動きで行う運動が主なので、取り組みやすくなっています。

岸和田市では、町会館など126ヵ所で、住民主体の「いきいき百歳体操」を実施していますが、令和4年10月末現在、新型コロナウイルスの影響で、約2割の実施個所は、休止をしている状態です。「いきいき百歳体操」に関わらず、地域活動が少なくなっている状況の改善は喫緊の課題です。

地域づくりを通じて目指す姿

市内各地で身近な場所に通える場づくりを目指して

これからも市民の方に長く健康に生活していただくためには生活圏内に通いの場があることが必要だと考えています。

「いきいき百歳体操」については、新型コロナウイルスの影響下でも、消毒薬を準備したり、一度に集まる人数を減らすために二部制にしたり、会館の外に椅子を並べて実施するなど、主催する住民さんが配慮しながら実施を継続されているケースもあります。

岸和田市内には約170町会ほど自治会があります。多くの地域で「だんじり」があり、町と町の間で競い合うように「いきいき百歳体操」などの通いの場が広がっていきました。今後、市内全域に広がることを目標に展開を進めていきたいと考えています。

 

地域づくりを支えるコーディネーターたち

生活支援コーディネーターとCSW(コミュニティ・ソーシャル・ワーカー)が密に連携し課題やニーズを把握

岸和田市では、日常生活圏域6か所に1つずつ、地域包括支援センターを設置しています。令和3年度までは地域包括支援センターを受託している3法人(1つの法人が2圏域を運営)に1名ずつの生活支援コーディネーターを配置し3名体制でしたが、地域のニーズを把握し、ネットワークを広げていくために令和4年度より日常生活圏域に1名ずつの6名体制になりました。

CSWは岸和田に11ある中学校区に1名ずつ、計11名を配置しており、子どもから高齢者まで支援が必要な方を関係機関に繋ぐ取組を実施する中で、様々な困りごとを把握しています。岸和田市では、社会福祉協議会(地域福祉担当)、地域包括支援センター(生活支援コーディネーター配置)、CSWの3者が定期的に会議をし、地域の活動状況や課題を情報共有しています。地域の課題やニーズに応じて生活支援コーディネーターが関係機関と連携しながら、地域の中で助け合いの仕組みや体制を作るための働きかけを行います。
また、生活支援コーディネーターが活動の中で把握し、個別の解決が必要なケースはCSWに連携して解決に向けて動くような形で連携しています。

 

生活支援コーディネーターによる重点的な取組

[1] 関係者間での団地に関する課題共有
団地を管理しているUR都市機構の担当部署と地域包括支援センター職員・生活支援コーディネーター・CSWとで気がかりな高齢者宅へ同行訪問を行い、地域での課題を共有しています。

[2] いきいき百歳体操でのニーズ把握
地域の住民が集まっている「いきいき百歳体操」に月1回程度、顔を出して体操の参加者や民生委員に対して生活支援に関わるニーズのヒアリングを行なっています。
様々な声をお聞きする中で、ある事例ではヒアリングの結果、近くにスーパーマーケットがなくなったり、高齢化による体力の問題などで、以前に増して買い物の困難さを感じている方が多くいらっしゃることが分かったので、自治会長、民生委員、地域活動代表者、地域包括支援センター、生活支援コーディネーターといった関係者の間で生活支援ニーズを共有しました。コロナ禍の中でも動きやすいタイミングを見計らって移動販売のお試し会の実施にもつながりました。今後の継続開催に向けた改善点などの調整を行なっています。

[3] 介護者家族の交流会の開催
地域包括支援センターの職員やCSW、生活支援コーディネーターが、個別相談を行った方の中から、介護の負担が重いと感じている方や、介護経験が無くこの先への漠然とした不安を強く感じている方などの声を拾いました。
市内に「介護者家族の会」はありますが、実施会場まで少し離れているため、身近な地域包括支援センター内のスペースを活用して、介護者家族の交流会「ほっとタイム」を開催しました。同じ介護経験をされている方々がお話しすることで、気持ちが楽になったという声をいただきました。

[4] 住民ニーズに応える取組を支援
地域包括支援センター職員や生活支援コーディネーターが毎月の地区福祉委員会に参加し、個別の困りごと等の課題を地域包括支援センター内で共有しています。
地域包括支援センターでは、地域の課題やニーズに応じて、関係機関や地域住民を集めて、地域ケア会議を実施し、解決策を検討しています。例えば、ごみ出しの課題であれば、市のゴミ収集の担当課も同席します。
また、ある地域では小学校区で実施した福祉アンケートの結果から町単位で5~10年後に起こる困りごとの把握のために、追加でアンケートを実施しました。明らかになった情報を基に議論を行い、ふれあいサポート(生活困りごとサポート、憩いの場サポート、ITサポート、外出サポート)を立ち上げました。

行政による支援施策

[1] 生活援助サービス従事者研修会の開催
今後、高齢化率が高まっていき、要支援1・2の方が生活援助を頼んでもすぐにはサービス利用ができなくなることが想定されるため、担い手を育成するために実施しています。平成28年度の開始からこれまでに約500名が受講し、1〜2割が就労につながっています。
研修の参加者はボランティア精神のある方が多いので、圏域ごとのテーブルで、それぞれ担当の生活支援コーディネーターから、どのようなボランティアに興味があるのか聴きながら、関心ある方は地域の通いの場の担い手になっていただけるよう取り組んでいます。


[2]「フレッシュらいふ教室」の開催
「いきいき百歳体操」に興味がある地域や、通いの場が少ない地域に、地域包括支援センターの協力のもと「フレッシュらいふ教室」を実施しています。
教室では、「いきいき百歳体操」の紹介、認知症予防、口腔ケア、栄養指導、地域包括支援センターやCSW、社協など地域の関係機関の紹介を行い、この教室をきっかけに、通いの場が立ち上がるケースもありました。


[3] 「いきいき百歳体操」の立ち上げ支援
5人以上の参加者が集まれる場所がある地域のグループからの声に応じる形で、住民主体での体操の立ち上げを支援しています。地域によって町会館を活用して老人会や自治会などが主催したり、軽費老人ホームが地域へ体操の場所の提供に協力したり、色んな形で実施をされていることもあります。
最初の導入時は4回(うち1回は体力測定)の支援を実施し、半年後に再度体力測定を行います。半年後と比べて体力がどのように変化したか個人票を渡しています。2年目以降は、年1回体力測定と健康や生活に関する情報提供を行い、市職員(保健師または理学療法士)と地域包括支援センターが協働して支援を行っています。また、1年以上継続していただくと、いきいき百歳体操スペシャル版を紹介したり、かみかみ百歳体操を提案し、お口のフレイル予防も伝えています。

 

DATA

総人口 190,148人
高齢者人口 53,375人
高齢化率 28.1%
要介護認定率 21.4%
通いの場の状況 236か所(令和3実施分 介護予防に資する住民主体の通いの場の展開状況 報告)
生活支援の状況 訪問型サービスA、通所型サービスA、通所型短期集中予防サービスC
移動支援の状況

令和4年4月1日現在

 

地域づくりの輪を広げるために

「いきいき百歳体操」の支え手養成講座の開催

令和元年度に「いきいき百歳体操」の運営支援に関心がある方に向けて講座を実施しました。
(新型コロナウイルス感染症拡大以降、講座開催は見合わせています)

 

「いきいき百歳体操」を実施している地域の交流大会

いきいき百歳体操の継続を支援する目的で、平成29年度からいきいき百歳体操交流大会を実施し、90歳以上の参加者への表彰や、わが町自慢の発表などを行っています。令和4年度は市制100周年記念「市冠事業」に認定され、11月に2圏域ごとに3日間開催し、合計111名が参加しました。

 

連絡先
連絡先

担当部署名:介護保険課地域包括ケア推進担当
電話:072-423-9475
メール:kaigo@city.kishiwada.osaka.jp

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