河南町
地域の現状と課題
移動支援の充実と若い世代の地域活動への参加の働きかけが必要
河南町は、金剛・葛城山地部とその前面に広がる丘陵地等からなり、古墳や遺跡などのすぐれた文化財がある町です。
令和4年9月末時点の全人口は約15,000人で、高齢化率は32.9%です。
昭和40年代に開発された住宅地では高齢化が進む一方、大阪芸術大学の周辺は学生も多く住んでおり、また、平成19年に開発された住宅地では高齢化率3.3%になっています。
地域によっては車の免許返納をした高齢者の増加による移動が課題です。解決策として、町が運営する町内循環バスに加えて、総合事業による訪問型サービスDにて、住民ボランティアの力を借りながら町内の移動支援の充実を図ってきました。現在は町内に有床病院が無いため、近隣の病院の送迎に向けた支援を検討中です。
また河南町は介護予防・自立支援に力を入れており、令和4年9月末現在、住民主体による通いの場は町内に25か所、通所型サービスBは3か所となりました。ボランティアが高齢化していることに加えて、コロナ禍で有償ボランティアの担い手研修会の開催が中止になり募集する機会も失われていましたが、現在は研修会等を少しずつ再開しています。住民の力を引き出しての地域づくりに取り組むためには、若い世代が地域へ関心を持つきっかけになる情報発信や世代を問わず集うことができる場づくりが課題です。
地域づくりを通じて目指す姿
支援を必要としている人、支援をしたい人の助け合いの気持ちが増えるまちに
地域住民が必要とされていることへの支援の充実や困りごとの解決をしていきたいと考えています。
社会福祉協議会が進める「河南町ラクチンライフサポート事業」では、町内住民のさまざまなお困りごとに対応する訪問型の助け合い活動を推進しています。30分500円のワンコインで町内の協力会員が訪問によって支援します。現在、協力会員の登録者数は47名に上ります。
令和4年から、専門職によるアセスメント支援として地域包括支援センター職員とリハビリ職による個別訪問の実施や、通所型サービスCを開始し自立の支援を進めています。通所型サービスCでは週1回のプログラムを12回参加した方がその後も自立した生活を送れるように、地域活動や地域の通いの場につなげることを目指しています。
また、移動についての困りごととして、病院にいきたいけれど車が運転できない、バスも1時間に1本あるかどうかなのでタクシーを呼んでいるという方もいます。それでも河南町に住み続けたいという思いを持たれています。要支援1・2の方が約295名いる中で支援が必要な方は多数いると考えています。その対応の充実を進め、支援を必要としている人の声を聞いた方が「自分も支援したい」という声をあげることができ、助け合いの気持ちが増えていき、助け合って住み続けられるまちを目指しています。
地域づくりを支えるコーディネーターたち
情報共有を密にして地域を支える
社会福祉協議会に第1層生活支援コーディネーターを1人配置し、町全域からの相談を受けています。同じ社会福祉協議会に所属するCSW(コミュニティソーシャルワーカー)やコミュニティワーカーとも連携しながら情報共有をしています。CSWは主に個人の支援を中心に活動し、コミュニティワーカーは地域全体を支援しています。
また、生活支援コーディネーターと地域包括支援センターの職員が地域に出向き、コロナ禍の中でも活動を継続している百歳体操に取り組む団体に声かけを行い、これまで継続して取り組んでこられたことを活かしていただく形での通所型サービスBの立ち上げの支援を行いました。令和3年度には2か所立ち上がり、令和4年10月には、さらに1か所追加となりました。それぞれ老人クラブ、地区福祉委員会、地域で有志の方々が立ち上げた団体が担っています。
令和4年9月から社会福祉協議会で始めた通所型サービスB限定の訪問型サービスDでは、団体の従事者が移送ルートを検討し、ボランティアの力で送迎しています。現在18名の運転ボランティアが登録しています。運転ボランティアになるために、福祉有償運送のための研修会を受講いただいています。
生活支援コーディネーターによる重点的な取組
[1] 行政と社会福祉協議会の連携協議の場を開催
行政と社会福祉協議会の連携や方向性を合わせていくことを大事にして、1~2か月に1回、社協・高齢障がい福祉課(包括)と協議の場を設けています。そこでは、お互いの業務の気づきや方向性の確認、ざっくばらんに取り組んでいること、困っていることなど意見交換をしています。また、認知症地域支援推進員も同席して地域の困りごとも話し合うことで、認知症カフェの立ち上げにも生活支援コーディネーターが関わっています。
[2] 第1層協議体会議の運営
河南町と生活支援コーディネーターやCSWなど社会福祉協議会の地域づくりに関わる担当者と協働して、実施しています。
元気な高齢者を生活支援の担い手とするための生活援助サービス従事養成研修(緩和型サービスAの従事者を養成)を開催し、高齢者の社会参加・生きがいづくりの場を提供しています。令和3年度までの合計48名が研修に参加しました。
行政による支援施策
[1] 通所型サービスB補助金
立上補助金30万円(初年度のみ):令和3年度に1団体に補助金262千円を交付しました。
運営補助金1回5,000円(月45,000円が上限):令和3年度は1団体に補助金67千円を交付しました。
[2] 通いの場のフォローアップ(いきいき百歳体操)
1年毎に体力測定として、リハビリ専門職等の派遣と包括の保健師により継続運営の支援をしています。
[3] 訪問型サービスD補助金
事業を運営している社会福祉協議会に対して、1回の送迎(片道)あたり400円の補助金を交付しています。令和3年度の補助金は81千円を交付しました。
DATA
総人口 |
15,053人(令和4年9月末現在) |
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高齢者人口 | 4,957人 |
高齢化率 | 32.9% |
要介護認定率 | 19.9% |
通いの場の状況 | 令和3年度に通所型サービスBを 2か所開始し、令和4年10月にさらに1 か所を開始。 |
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生活支援の状況 | ラクチンライフサポート事業(河南町社会福祉協議会) |
移動支援の状況 | 訪問型サービスD(移動支援)45人、201回(令和3年度実績) 総務課にて町内循環バスやタクシーを運行 |
地域づくりの輪を広げるために
移動支援の範囲拡大
訪問型サービスDの移動支援の範囲を隣市の病院まで範囲を広げるためには新たな担い手が必要となるため、町内の事業者に協力を得られるか、話し合いの機会を設けて検討を進めています。
小学校等跡地の有効活用
コロナ禍でいきいきサロンなど集まれる場の活動が止まってしまったことで、これまで地域住民が取り組んできたことの意味を感じることにもなりました。そのため通いの場として小学校等跡地の活用を検討しています。
現在は各種団体が活用内容を検討している段階のため、生活支援コーディネーターや社会福祉協議会、地域包括支援センターと話し合いの機会をもうけて、どのような支援が必要かどうか確認を進めています。
担当部署名:河南町健康福祉部高齢障がい福祉課
電話:0721‐93‐2500
メール:kourei@town.kanann.osaka.jp