• いくつになっても住みやすい「ええまち」づくりを応援するプロジェクト

ええまちづくりのええ話

大阪府内の地域団体の活動事例や、行政職員や生活支援コーディネーターの研修の発表も広く掲載。
団体の活動の参考にしたり、市町村の仕組みづくりに役立つ記事がたくさんです。

大阪のリアルな地域課題を元に各自ができることを考えるアイデアソン/大阪ええまちアカデミー2022<入門編>第2回サマリー

2022年8月30日

年をとっても安心して暮らし続けられる仕組みを作るなど、主体的に地域や自身の未来を想像し活動を始める人を、大阪府は「大阪ええまちアカデミー2022」でサポート。<入門編><実践編>の2つのステップで実践のお手伝いをしています。

2022年7月に開催された<入門編>第2回は実際に地域のニーズを把握している先輩がたに現状や課題・ニーズを聞きながら、実際に何ができそうかアイデア出しをする“アイデアソン”を実施。「地域ではこんなこともできるのでは?」という刺激やヒントにしてもらいました。

この記事では、「入門編」第2回のサマリーをお伝えします。

入門編に参加できなかった方・復習したい方はもちろん、新たな地域活動の立ち上げに取組みたい方は、ぜひ最後までお読みください。

 

・四條畷市のケース:公民館や公園を使った世代間交流の場をどうつくるか

・吹田市のケース:高齢者のニーズ把握方法、高齢者の外出意欲を高める方法を知りたい

・豊中市のケース:転勤者や独居高齢者が多い地域で住民と介護事業所が対話する場とは?

・富田林市のケース:お店などと協業する「まちの活動コーディネーター」への呼びかけ方

 

【各回ナビゲーター:広石拓司さん(株式会社エンパブリック)】
エンパブリック代表取締役、ソーシャル・プロジェクト・プロデューサー/大阪市出身。東京大学大学院薬学系修士課程修了。シンクタンク、NPO法人ETIC.を経て、2008年株式会社エンパブリックを創業。「思いのある誰もが動き出せ、新しい仕事を生み出せる社会」を目指し、ソーシャル・プロジェクト・プロデューサーとして、地域・企業・行政など多様な主体の協働による社会課題解決型事業の企画・立ち上げ・担い手育成・実行支援に多数携わる。

 

現役で働く世代はついつい、地域活動もビジネス的に捉えてしまい「早い方がいい」「規模は大きい方がいい」「効率化しなきゃ」などと考えがちですが、地域活動はいきなり大規模に始めようとするより3人、5人と小規模で動いてみるとよいとナビゲーターの広石さんは話します。

そこで今回の<入門編>第2回では、生活支援コーディネーターなど、地域課題に詳しいプレゼンターから実際に近いニーズの例を伺い、リアルな地域の様子を参加者が受け止め、各自興味のあるトピックスで「少人数でのアイデア出し」のコツをつかんでいきました。

四條畷市のニーズ例

少子高齢化が進み、老人クラブ、子ども会が解散した地域。公民館や公園を使った世代間交流の場のアイデアを集めたい!

第1層生活支援コーディネーターである四條畷市社会福祉協議会の橋本雅美さんからは、少子高齢化が進む地域で多世代交流のニーズがあることが紹介され、「このような場所で何ができそうか」というアイデア募集プレゼンが行われました。

この地域の特徴に、「コロナ禍で高齢者サークルの活動は軒並み停止したまま再開されていない」「公民館活動もあまり盛んではない」というものがありましたが、その後のアイデアソンではコロナ禍を逆手にとって、「働く世代はコロナ禍を受けて、在宅勤務をしていることも。日中家にいるかもしれない現役世代とのつながりを作っていくのはどうか」というアプローチや、「子どもや働く世代を含めた住民目線であるとよいものを考えてみたい」というアプローチも出てきました。

具体的には、「公園で持ち寄りマルシェ」「それを子ども記者が取材して、YouTube配信」「地域のホームページ作成」などのアイデアや、「子どもの世話をしなければならない在宅勤務の人向けに、公民館をコワーキングスペースとして開放、高齢者の人は子どもと遊んでもらうのはどうか」といった案、若い世代にスマホ教室や買い物同行などの生活支援をしてもらうのはどうかといった案などが集まりました。

 

「地域の中で足りないから自分たちがなんとかしないと」と考えるより、「みんな力を持っているけど発揮する場所がないのではないか」と発想を転換しているところがよいですね。
それぞれの人が持っている力を見ていくのがポイントです。

 

吹田市のニーズ例

高齢者のニーズ把握方法、高齢者の外出意欲(社会参加)につながる取り組み、企業・スーパーなどと連携した高齢者生活支援についてアイデア募集!

広域型生活支援コーディネーターで吹田市社会福祉協議会の新宅太郎さんからは、もともと坂道の多い町で外出が大変になったこともあり、コロナ禍で高齢者と会うのが難しくなったことから、高齢者のニーズ把握の方法や、坂道の多い地域でどう外出意欲を持ってもらうか、といったアイデア募集がありました。

これに対し、「ニーズを知るためには何もアンケート調査やワークショップをしなくても、普段の交流のなかでヒアリングしてもよいのでは」という意見が出たり、坂道を逆手に取ったりしたアイデアとしては「街中クーポン」「おでかけチケット」「助け合いNPO」「ディーラーさんとシルバーカー活用」といったアイデアが出てきました。

「いつもの地域のワークショップだと、目の前の現実が立ちはだかって自由なアイデアが出てきづらいのですが、いろんな人がいらっしゃることで夢が膨らんだ」と新宅さん。

 

地域に課題があることは悪いことではありません。つい「何の問題もなく穏やかに暮らしてもらいたい」と考えがちですが、坂道などの課題があるからこそ、手伝おうかという声が出てくることもある。問題をなくすのではなくレジリエント(回復力・弾性のある)な地域づくりを目指すのがよいのではないでしょうか。

 

豊中市のニーズ例

転勤者や独居高齢者が多い地域の福祉充実のために、住民と介護事業所が対話する場の作り方のアイデアを募集!

 

豊中市で介護事業所を運営する社会福祉法人愛和会は、地域ニーズに合わせて地域貢献活動として本業以外にも様々な地域活動を行っています。

例えば未就学児の保護者向けイベント・高齢者の介護予防を目的としたカフェ・子どもの居場所となる子ども広場の運営・困窮家庭向けのお弁当作りなど・・・。

しかし職員主体の運営のため、開催回数に限りがありニーズに応えきれていないのが現状。地域貢献委員会メンバーで作業療法士である甲田恵美さんは、その開催頻度や種類を増やすために、どうしたら住民と介護事業所が対話できるかを模索しています。

それに対し「現状のイベントの参加者からボランティアを募集してはどうか」、「現状近隣で活動しているママサークルなどと連携をするのは?」、「場所の提供や地域活動をしたい方にサードプレースとして実践の場所にしてもらってはどうか」などのアイデアがあふれました。

今回のアイデアソンを受けて、「運営が職員主体になってしまっていたことに気がつきました。すでにイベントに参加してくれている住民のニーズや、持っておられる力、魅力をもっと知る必要があると思いました」と甲田さん。

 

地域ニーズにあわせた活動があるのは素晴らしいですが、福祉施設の職員がすべて先回りするのではなく、地域住民と一緒に、何がしたいか、何ができるかをみんなで考えていけると面白いですね。
地域の人が“手伝う”というより、地域の人がやることに施設が連携する形が良いと思います。

 

富田林市のニーズ例

公民館以外の、お店などもあたたかく心強い場所になる。
協業して実現したいことにつなげる、市民による「まちの活動コーディネーター」を生み出すには?その市民に呼びかけアイデアを募集!

新しいまちと古いまちが混在しているこの富田林のこのエリアには、出かけることでポイントをためてプレゼントと交換できる「健康拠点」が約20か所あります。それらのお店だけでなく、訪問者にも何かいいことのあることができないかと富田林市の高齢介護課の永岡加寿子さんは考えて、「コーディネーターを生み出すための市民への呼びかけアイデア」を募集。(当日は参院選選挙現場対応のため、大阪ええまちプロジェクト事務局が代理で発表)

このトピックのアイデアソンでは、「健康拠点に来ている人に聞いてみることから始めては?」、「子育て委員、民生委員などがネタを持っていそう」といった意見が出てきました。

参加者からは「お店の人の“得意なこと”を聞いたことがないと気づいた」「コーディネーターのその手前の情報収集が必要」といった声がありました。

 

コーディネーターを生み出すのは難しいけれど、まずは各お店でこんなことをしたら楽しい、
ということを考えみるのもいいかもしれませんね。

 

 

広石さんからのメッセージ「課題ありきではなく、やりたいことを」

 

“課題分析も大事だけど、一度そういうものから離れるのも大事です”と広石さん。

課題解決にばかり着目するとアイデアが出てきづらくなるため、一度やりたいことを好きに話してみるのもよいと言います。

例えば、75歳以上の高齢者向けのレクリエーションといえばつい「童謡の “ふるさと”でも歌う?」と考えてしまいがちですが、今の後期高齢者はローリング・ストーンズやビートルズに慣れ親しんだ世代。古いメンタルモデルに縛られて出てきた課題解決型の企画よりも、参加者に「本当は何が好き?」と聞いてポツリと出てきた「ビートルズを聴いて語って歌う会」の企画のほうがたくさんアイデアや人が集まった、という実例もあったそう。

“なかなか興味があっても言葉にできない中で、みんながもっとしたいこと、楽しいことを言葉にできるのがそれこそが楽しいええまちなんじゃないでしょうか。”とアドバイスしてくださいました。

>>入門編第1回は「地域活動を立ち上げる際の重要なポイントがわかる-『チョイサポしのだ』のケースから」:詳しくはこちら

 

あなたも大阪府の地域活動立ち上げにかかわってみませんか?

大阪ええまちアカデミーの<実践編>では、大阪の各地域で地域活動の立ち上げに挑戦します。<入門編>を受講した方のなかから、「実践リーダー」として“やってみたい!”と声の上がった4つのプロジェクトについて、これからの地域活動の立ち上げにともにチャレンジする「実践メンバー」を募集します。
先輩団体や専門家からの伴走支援もありますので、ぜひ実践テーマ共有会にご参加ください。

 


実践メンバーを募集する2022年実践編のテーマ

テーマ:シニアと学生をつなぐ助け合いコミュニティ(茨木市)
キーワード : 高齢者、学生、施設、公園、介護予防、認知予防、コミュニティデザイン

テーマ:『地域が実家』地域の人・場所・物をフル活用!!地域みんなで家族(吹田市)
キーワード : 多世代交流・共感共有・居場所づくり・地域フル活用・大学連携・シニアの生きがいづくり・子育て応援・ワークシェア

テーマ:健康クラブ「つるみご近所さん」(大阪市鶴見区)
キーワード : 通いの場・健康・いきがい・楽しみ・有償ボランティア・社会貢献

テーマ:誰でも気軽に立ち寄れる居場所作り(大阪狭山市)
キーワード : だれかが誰かのために、ひとり一人が役立ち社会貢献へとつながる。


 

実践テーマ共有会 ご案内【こんな方のご参加をお待ちしています】

・地域活動を新たに取り組む実践リーダーと一緒に活動の具体化に向けて考えたい

・いずれ自分も活動を起こしたいと思っているが、まずは実践リーダーと一緒に取り組んで学びたい

・実践リーダーが提案する地域活動のプランを聞いてみたい

【開催概要】

日時:2022年9月4日(日)14:00〜16:00

開催方法:オンライン(Zoom)

プログラム(予定):

・大阪ええまちアカデミー実践編の説明

・実践メンバーへの立候補に関する案内

・実践リーダーによるプレゼンテーションと質疑応答

・ナビゲーター、アドバイザーによる講評

 

▽実践テーマ共有会へのお申込みはこちら

https://form.servicegrant.or.jp/eemachi-academy0904

 

 

ええまちづくりのええ話へ戻る