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ええまちづくりのええ話

大阪府内の地域団体の活動事例や、行政職員や生活支援コーディネーターの研修の発表も広く掲載。
団体の活動の参考にしたり、市町村の仕組みづくりに役立つ記事がたくさんです。

オンラインを活用した、地域団体と支援者との出会いと成果とは/東大阪市 第2層生活支援コーディネーターと支援者の体験談

2024年3月8日

大阪ええまちプロジェクトでは、大阪府内の市町村が主体となって地域団体の課題解決につながる体制づくりの伴走支援を行なっています。

地域団体の困りごとの解決に向けて、外部人材からのサポートを得るために活用しているのは、社会参加プラットフォーム「GRANT(※)」というオンラインツール。
本記事では、東大阪市の第2層生活支援コーディネーターがどのように調整し、進めていったのか、実際に団体支援に参加したプロボノワーカー(※)とともに、インタビュー形式で話をお聞きしました。

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インタビュー日:令和5年11月28日(令和5年度 第2回東大阪市生活支援コーディネーター連絡会)
第2層生活支援コーディネーター:橋本 由美子さん(地域包括支援センター上小阪)
プロボノワーカー:檜垣 高志さん 
聞き手:槇野 吉晃(大阪ええまちプロジェクト事務局)

(※)「GRANT(グラント)」とは・・・
全国各地の中間支援組織(コーディネーター)と連携し、新たな参加者と、NPOや地域団体等をつなぐ社会参加プラットフォームです。
https://grant.community/about_grant

(※)「プロボノワーカー」とは・・・
「仕事で培った専門的なスキル・経験等をボランティアとして提供し社会課題の解決に成果をもたらすこと」を意味する「プロボノ」に参加する方のことです。
https://eemachi.pref.osaka.lg.jp/about/probono/

大阪ええまちプロジェクトでは、大阪府内の生活支援コーディネーターがGRANTを活用することで、地域団体の支援ニーズと支援者とのマッチングを通じて地域団体の担い手確保を促進する仕組みづくりを支援しています。

地域団体の課題解決の可能性を広げるコーディネート

第2層生活支援コーディネーターの橋本さんは、GRANTを活用して地域団体「ゆ〜ゆ〜足湯サロン」と支援者をマッチングしました。
「ゆ〜ゆ〜足湯サロン」では、心身の健康維持のため、楽しい会話をできる井戸端会議のような場所を目指して、JR俊徳道駅近くの銭湯「永和湯」で月1回、開催するサロンです。
プロボノワーカーとして檜垣さんは、ゆ〜ゆ〜足湯サロンの参加者を増やすことを目的にチラシ制作を通じて団体を支援しました。(支援期間:令和5年5月29日〜7月29日)
詳細は、ゆ~ゆ~足湯サロンの支援プロジェクト紹介ページをご覧ください。

 

Q:橋本さんがGRANTを活用した支援者募集を「ゆ〜ゆ〜足湯サロン」の伊藤さんにご紹介した背景を教えてください。

橋本さん(第二層生活支援コーディネーター):もともとは令和4年度に「ゆ~ゆ~足湯サロン」の伊藤さんから活動の参加者が減っていると相談があったことが背景でした。
当時は、大阪ええまちプロジェクトの「プロジェクト型支援」について相談をしていたのですが、伊藤さん自身、メールが得意ではない等のハードルがあり応募には至りませんでした。参加者が減っているという問題は解決していないままになっていましたが、今年の春に大阪ええまちプロジェクト事務局の槇野さんから、より簡単なマッチングのプラットフォーム型の支援があると提案をしていただき、
「これなら、プロジェクトの進捗状況を生活支援コーディネーターである私自身が同じタイミングで把握ができ、伊藤さんをサポートできるのではないか」
「プロボノワーカーさんとの直接のやり取りであるため、ゴールが見えやすく、短期間で成果が得られるのではないか」
と考えて、伊藤さんにこの方法で進めていくことを提案しました。

 

Q生活支援コーディネーターとしてGRANTを活用してみて良かったことを教えてください。

橋本さん:プロボノワーカーの檜垣さんは4回も現地に足を運んでくださいました。
本来ならオンラインでもやり取りができればよかったのかもしれませんが、伊藤さんのことも汲んで進めてくださったのがすごくよかったです。

「この足湯サロンをどうPRすればいいのか?」という課題に、足を運んで関係者にも話を聞いてくださったことで、この場でやっていきたい皆さんの思いがとても明確になっていったと感じています。

結果的に「永和湯de井戸端会議エクササイズ」という素敵なキャッチフレーズを作ってくださったことと、それを見て参加されてる皆さんが、「私たちが言いたかったことは、これ!」と盛り上がりましたし、現役世代の檜垣さんの存在は、高齢者のみなさんにとって、とても新鮮であったようで、「やっぱり若い人たちのアイデアはすごい!」と、感嘆の声が多く聞かれました。
チラシ作りという支援に加えて、足湯を一緒に楽しんでくれることで、普段来られている方も刺激になっていた様子です。

チラシ完成後、支援を受けた「ゆ〜ゆ〜足湯サロン」の伊藤さんを挟んで、 左は地域包括支援センター上小阪の坂本さん(橋本さんと一緒に伴走) 右がプロボノワーカーの檜垣さん

私自身、生活支援コーディネーターという立場で、いつも「若い世代、次の世代の担い手不足」が最大の課題であると感じていましたが、檜垣さんをはじめ、GRANTのプロボノワーカーさんの存在を知り、この地域に住んでいなくても、力を借りられる人がいるんだと、心強く思えるようになりました。

 

プロボノワーカーにとっても視野が広がる経験に

Qでは、プロボノワーカーの檜垣さんにもお話を伺いたいと思います。普段のお仕事とプロボノのご経験を教えていただけますか?

檜垣さん:普段は消費財メーカーの新規事業開発部門で働いています。
プロボノの経験は78回。長いものだと6か月程度で短いものだと1か月のプロジェクトに参加したこともあります。

 

Q檜垣さんは、なぜプロボノワーカーとしてエントリーをしようと思われたのでしょうか?

檜垣さん:仕事ではデザインをしているわけではないのですが、以前に大阪ええまちプロジェクト主催の講座で、無料から使えるデザインソフト「Canva(キャンバ)」の使い方を習ったので、自分の腕試しにエントリーしてみたいという気持ちがありました。
大学生時代には、東大阪に通っていたことの縁があったのと、銭湯で何か居場所づくりをやっているというのは興味深いと感じたのもエントリーのきっかけでした。

 

Qプロジェクト中に印象的だった出来事はありましたか?

 檜垣さん:足湯サロンでの活動を知るためにエクササイズや足湯を体験してみると、場の雰囲気が柔らかくなって皆さんとの会話も弾むという経験をすることができました。
「あぁ、こんな風になるんだ、素敵だな」と感じたんです。
4回目に訪問した時には、地域包括支援センターの坂本さんへ参加者の方が「ちょっと相談あるんだけど」と身近に相談されていることも見て、この雰囲気の中、つながりができて相談できるのはいいな、と思いました。

 橋本さん:檜垣さんがおっしゃっていた言葉で、とても印象に残っているのが「自分は今、仕事をしているので、社会と関係を持っているけれど、退職した後、たちまちに関係が途絶えてしまうと思った。自分が住む地域に、どんな人が住み、どんな活動があるのかを、今から知っておくのもいいなぁと思ったんです。」という言葉です。
どの年代の人も、高齢になる時を迎えます。
その準備期間として、40代、50代から関心を持ってくださる、檜垣さんのような方を、地域の中で見つけていきたいと思いました。

 檜垣さん:自身は東大阪市外に住んでいて、仕事と家の往復が中心でしたが、今回のプロジェクトでの支援を通じて、東大阪市の課題というだけではないことに気づきました。自分の身の回りにもこんなことがあるんだな、と知ることが、思考の幅が広がったと感じています。

 

生活支援コーディネーターがあらゆる協力者と協働していくために

Q橋本さんとしては初めての経験で大変だったこともあると思います。いかがでしょうか?

 橋本さん:「ゆ〜ゆ〜足湯サロン」の活動紹介やチラシ制作の支援者募集のページ作成については大阪ええまちプロジェクト事務局さんが現地にお越しいただいた際に、その場でサポートいただけたので、とても楽にスタートできました。
ただ、伊藤さんがメールを見たり、GRANTのウェブサイトにログインして確認したりする習慣がないものですから、通常業務の合間に私が確認しなければならないということは発生していました。
ある程度、メールのやり取りなど慣れている方だったら、見守りと助言程度で良かったのかもしれません。

 

Q他に活用されている方も見ると、メールの送受信ができる、インターネットの閲覧や検索ができれば、GRANTを使いこなされている方は多い印象です。
では、檜垣さんに質問ですが、生活支援コーディネーターの方が間に入ることで感じた良さはありましたか?

檜垣さん:橋本さん、地域包括支援センターの坂本さんは、地域の方や、参加者さんのこともよく知っておられます。
団体さんだけでは言葉にしにくいことや、「地域の課題」のことを翻訳して伝えてくださり分かりやすかったです。
伊藤さんとのやり取りだけでなく、コーディネーターさんも一緒になって打合せを経て大事なポイントをみんなと決める際に整理してくださっていました。

 

Q最後に橋本さんにお聞きします。今後、生活支援コーディネーターとしてGRANTをどのように活用していこうと考えておられますか?

橋本さん:今回の事例を通じて、プロボノワーカーの檜垣さんとも直接お会いすることができて、地域活動での些細な課題についても相談していいのかな、と思えました。
例えば、地域活動の講師や、イベントで何か披露してくれる人の募集などでも活用できればと考えています。

また、プロジェクトそのものをつくりあげていく活動においては、プロボノワーカーさんだけでなく、東大阪市の職員や、第1層生活支援コーディネーター、コミュニティワーカーの方などと、協働できたら良いなと思っています。

 私たち、生活支援コーディネーターの仕事は、やろうと思えば際限なくやりたいことも、やらなくてはいけないことも出てきてしまいます。
それを、1人の担当だけで取り組むには限界を感じてもいますので、市内のあらゆる関係機関と協力して、そして、GRANTで、あらゆる世代の、あらゆる地域の協力者の方々の力を借りて進めていけたらと思います。

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 大阪ええまちプロジェクトでは、大阪府内で支え合い・助け合いや居場所づくりなどを通じた「ええまち」づくりに取り組む地域団体の支援を行なっています。

情報提供やご相談がありましたら、【事務局】認定NPO法人 サービスグラントまでご連絡ください。 

担当:槇野、河井

電話番号:06-6484-5810 または 080-2380-0797(槇野)

Eメール:osaka@servicegrant.or.jp

 

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