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ええまちづくりのええ話

大阪府内の地域団体の活動事例や、行政職員や生活支援コーディネーターの研修の発表も広く掲載。
団体の活動の参考にしたり、市町村の仕組みづくりに役立つ記事がたくさんです。

「介護とまちづくりは車の両輪」生活支援コーディネーターに求められるのは、身を持って地域づくりに参画すること。

2017年8月21日

東大阪市で、在宅介護支援と地域支えあいのまちづくりを推進されている、前田正道さん。花園商店街を中心に、デイサービスセンターやグループホームの運営のほか、地域介護予防活動拠点やコミュニティカフェの経営などを通して、地域を盛り上げておられます。大阪府の生活支援コーディネーターへの指導もされている前田さんは、生活支援コーディネーターの現状の活躍や今後の課題について、どのような想いを抱いているのか、お聞きしました。

前田 正道 さん
大阪府生活支援コーディネーター指導者等連絡会委員。福井県出身。衆議院議員秘書等を務めた後、ヘルパー2級を取得。仕事をしながら障がい者の入浴介助などを経験した後に、社会福祉士の資格も取得。退職後、「ノーマルライフ在宅サポートセンター」を設立。河内花園を中心として、まちづくりに取り組んでいる。

3つの柱のもとで地域支援。人と人が繋がり、地域課題を解決していくことが喜び。

13年前から、介護事業を営みながら、地域介護予防活動拠点「お達者くらぶ」と「コミュニティカフェ・ひだまり」の運営という、3つの柱で事業を行ってきました。「お達者くらぶ」では高齢者の憩いの場づくりと介護予防や生きがい活動を行っています。「ひだまり」は『まちの駅』として、カフェをはじめ様々な団体活動の拠点となっています。「介護とまちづくりは車の両輪」だと私は思っていますが、高齢者だけではなく子どもや障がいを持つ人、様々な生きづらさを抱える人々とも繋がり、地域で暮らしやすい環境を作っていけたらよいなと思っています。

「ひだまり」のお客様から地域支援のヒントをいただくこともあります。その一つが「こども食堂」。「あったらいいな」というお声を聞いた店主が、同じ思いを抱く人たちを繋げたことがきっかけで、人が集まり、何度も話し合いを重ねて、半年ほどで実現しました。地域課題にみんなが真摯に向き合い、セッションしあうことで、「子ども食堂」という一つの形ができたのですが、最初に結びつけた店主こそ、介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)における生活支援コーディネーターのような役割を果たしていると思います。

行政と地域の両面から人を輩出し、生活支援コーディネーターのチームを作ることが課題解決の近道。

平成26年、大阪府より生活支援コーディネーターの指導者募集があり、応募したことで、総合事業に関わることになりました。東大阪市や八尾市などで、これまでに18回ほど講演をしていますが、総合事業の目的についての理解がまだ浸透していないことを感じます。一般的には生活支援コーディネーターの仕事は、社会福祉協議会や地域包括支援センターへ委託することが多いです。東大阪市は全ての地域包括支援センター22ヵ所に生活支援コーディネーターを配置しています。しかし、生活支援コーディネーター自体が地域をよく知らないという問題もあります。彼らの職務は社会資源を開拓し、人と人をつなげ、地域の課題を協働して解決していくことですが、地域に精通していないと難しいですよね。私が提案したいのは、生活支援コーディネーターと、地域をよく知り活動的な信頼のあるお世話役的な方にも生活支援コーディネーターになっていただいて、二人体制で地域もバックアップして活動することの方がよいと思います。地域包括支援センターと地域が正に運命共同体として、しっかりとした協働体制を組むことが地域のニーズを汲み上げ、主体的な課題解決を図れる仕組みになると思います。

生活支援コーディネーターが、地域支援を成功に導くコツとは?

地域支援をうまく運ぶために、初期段階での住民とのワークショップは必須です。現在、成功している生活支援コーディネーターの方は、まず初めに地域に入り込み、住民と話し合い、住民の意見やアイディアをしっかりと汲み取って、行動へとつなげています。ただ、ワークショップを上手に行えるようになるためにはスキルと経験が必要です。そのために「大阪ええまちプロジェクト」を利用して、様々なノウハウを得ていくのも一つの方法であると思います。先駆的な活動団体や他の生活コーディネーター等から学びながら、自らも現場に入り込んで活動することが大切ではないでしょうか。生活支援コーディネーターは、団体のメンバーが悩んでいること、足りないと感じている社会資源など、伴走しながら課題を発掘し、支援することで、共感し、真のニーズをつかみ、解決へと向かっていけると思います。

「大阪ええまちプロジェクト」のプロボノをはじめ、アクティブシニアの参画が地域の盛り上げに繋がるはず。

私自身が地域支援に取り組んできた中で、大切だと思うのは、行政を上手く頼り、信頼関係を得ていくことと、経営的な手法を持つということ。今後、地域課題の中で解決が求められ、これから成長していくと思われる分野には、アクティブシニアに、どんどん参画して頂きたいと思います。サラリーマン経験や様々なスキルを持つ人たちが集まり、地域課題に取り組み、地域の力を高めていく。こうしたローカルガバナンスが、今後どんどん必要になっていくと考えられます。こうした動きの中で、「大阪ええまちプロジェクト」のプロボノが良い効果を生み出していくと期待しています。

大企業で勤め上げ、定年を迎え、退職金で老後を過ごすといういわゆる昭和型の生き方は、もう終わりを迎えます。今は70歳を過ぎても仕事をしたいという方も多いです。アクティブシニアが新たに活動を広げ、世代を超えて、思いをつなげていくことが、地域を盛り上げていくことになるのではないでしょうか。

楽しみながら取り組むことが、地域支援を成功に導く。

地域に入り込み、様々な人と繋がっていくことは面白いものです。生活支援コーディネーターの方にはそこを楽しんでもらいたいです。高齢者の課題から、子ども食堂、子どもの居場所づくり、学習支援…など、課題やテーマは追求するほどに繋がっていくもの。人間なので、思い通りに進まないことがほとんどですが、楽しむことが成功する一つの道ではないでしょうか? 私自身も、現場に入りながら生活支援コーディネーターの方々を支えていけたらと思っています。

 

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