ええまちづくりのええ話

講演
生活支援体制整備事業への取り組み方/2019年度 生活支援コーディネーター養成研修

2020年1月27日、I-siteなんば(大阪市浪速区)にて大阪ええまちプロジェクト「生活支援コーディネーター養成研修」を開催しました。

本レポートでは、さわやか福祉財団目崎氏による講演をお届けします。

公益財団法人 さわやか福祉財団 新地域支援事業 担当リーダー 目崎 智恵子 氏

 

多様な立場の方とネットワークを組み、事業をつくる

今日は生活支援コーディネーターさんだけではなく、行政、社会福祉協議会(以下、社協)、地域包括支援センター(以下、包括)の職員といった方々が一堂に会した機会ですので、少し生活支援体制整備事業(以下、体制整備事業)の振り返りをさせて頂ければと思います。

 

まず、さわやか福祉財団は、代表の堀田力が「新しいふれあい社会の創造」という理念の元、約30年前に創設し、今は全国各地で支え合いの体制づくりである、体制整備事業を都道府県や市町村と共に推進しています。

 

地域包括ケアシステムが必要となる背景

団塊の世代が後期高齢者になる2025年には超高齢社会がやってきます。

2050年には65歳以上の高齢者1人を20〜64歳の1.2 人が支える「肩車型」社会がやってくるということは、厚労省の統計などでもご存じかと思います。

 

医療・介護だけでは支えきれないため、もうひとつ生活支援と介護予防という柱をつくり、地域全体で支え合う体制をつくっていくことが、今回の体制整備事業で取り組みを開始してから5年目になります。

 

生活支援コーディネーターと協議体は、総合事業のサービスBを創ることが役割だと思っている方もいるかと思いますが、生活支援コーディネーターと協議体の役割は、住民主体の多様な助け合い活動の創出とネットワークづくりです。

それは住民だけではできません。NPOや企業等、いろいろな方たちとネットワークを組みながら、体制整備事業を推進していきます。その他にも、包括的支援事業の認知症施策推進や医療介護連携、地域ケア会議、こういったものも一緒に連動させながら支え合いを創っていく必要があります。

 

協議体の質が、地域の取組に大きな影響を与える

生活支援コーディネーターと協議体の役割ということについてお話させていただきます。

 

さわやか福祉財団では、生活支援コーディネーター及び協議体の役割を3ステップ(3つの側面)で説明しています。

 

ステップ①は、「第1層・第2層の協議体の基盤づくり」です。

住み慣れた地域で、自分らしい生活が続けられるような仕組みを作っていく為に、地域の実情に応じた話し合いの場(協議体)と生活支援コーディネーターを配置していく事が大切です。

体制整備事業は、国の資料ですと、第1層は市町村全体。第2層は日常生活圏域ごとに設置となっています。全国でも概ね第1層協議体は、市町村全体で一つ。第2層協議体は中学校区というところが多いです。

生活支援コーディネーターは一人でなくても良くて、必要に応じて配置していくことも大切になってきます。

 

平成27年に制度が始まった頃から、生活支援コーディネーターから、「コーディネーターが職場内に1人だけ配置されているので何をしていいのか分からず孤立してしまう。」「他の業務と兼務なので、この事業の優先順位が下がってしまい、なかなか地域に出て行けません。」という話をよく聞きますが、住民を集め地域課題を整理し、地域で支え合いを創っていく場が協議体ですので、生活支援コーディネーターは協議体と一体となってこの事業に取り組むことが大切です。

生活支援コーディネーターは、協議体のサポート機能が小さけければ負担が大きくなりますし、協議体のサポートが大きければ、負担も小さくなります。面としての助け合いの仕組みづくりを推進できる、地域の話し合いの場(協議体の基盤)を創ることが大切です。

 

 

ステップ②は、「ニーズと担い手の掘り起こし、コーディネート」です。

話し合う基盤ができてまず行うことは地域ニーズの把握です。そしてその地域ニーズに合った担い手の発掘。そしてマッチングです。ここで大切なのは、地域の困りごとで住民ができることから取り組むことです。

 

ステップ③は、「生活支援コーディネーター・協議体による地域の課題解決」です。

目指す地域像の実現に向けて、課題に対して取り組みプランを樹立し、実行していく。このサイクルを繰り返しながら目指す地域像の実現に向け、支え合いを創っていくことです。

 

 

今日は、2地区(東京都板橋区、枚方市)の事例から、協議体をどう創ってきたのか。そのプロセスやノウハウをお聞きできると思いますので、皆さんの地域に生かせるヒントを持ち帰っていただければと思います。

 

住民の意識を変えるには小さなことからコツコツと

生活支援コーディネーター・協議体が活動している中で、地域ニーズ把握を行うと、なかなか取り組めないようなことばかりが出てきてしまうことがあると思いますが、体制整備事業は住民の一人ひとりの意識改革でもあり、自分たちでできそうな小さなことからコツコツと少しずつやっていくことが大切です。

「これはできる。やってみよう。」「もう一つできるようになった。」「こんな人に入ってもらったらこれもできるよ。」というように、一つずつ課題解決に結びつけていくことで住民の意識も高まります。

協議体で、「こんな困り事が最近多くなったな。」「解決するために何ができるだろうか。」「こんな仕組みがあったらいいな。」というように、いろいろな立場の人がいろいろな角度から情報を出し合い共有していくことで、支え合いの仕組みづくりのアイデアやノウハウが生まれてきます。

例えば、環境の変化によっても、地域の困りごとは変わってきます。災害が起きて普段使っていた場所が使えなくなって生活環境が変わってしまうこともあります。台風で、いつも通っていた橋が落ちてしまい、通れなくなってしまったために散歩ができなくなり、閉じこもってしまうおばあちゃんがでてきてしまう。こういった地域ニーズもその時々で変わってきます。

協議体機能を上手く活用しながら、地域のニーズや社会資源をアップデートしていくことも大切です。そしてそのニーズに対して担い手を掘り起こし、支えあいを創出していくステップに繋いでいっていただくといいと思います。

 

住民ニーズと資源をつなぐため、地域を俯瞰する”鳥の目”を養う

協議体構成員には、住民、民生委員、NPO、企業等、多様な方々がいます。

そのような人々が協議体という場に集まってきて定期的に話し合いを行っています。

そこには、行政や社協、包括の職員、こういった人たちがフラットな関係の中で、いろいろな地域情報を共有します。そして地域ニーズや社会資源の把握をしていきます。

構成員は、ここ(協議体)で得た情報を、ご自分が参加している活動の方々に伝えていくということもとても大事なことです。

「協議体という場で、こんな困り事の話があるという話を聞いています。何か聞かれていることや、知っていることありませんか。」「自分たちの活動でもできることないかしら。」「その困りごとはあそこの介護事業所の人にちょっと聞いてみようか。」と周りの方と話をすることで、活動者同士の横の連携もできてきます。

 

生活支援コーディネーターは、協議体と一体となり、鳥の目となり地域全体を俯瞰して見ながら活動することも大切です。

「あそこにあんな活動がある。」「あそこにこんな困っている人がいる。」「この活動と他の活動を繋いでみようか。」「この企業は、こんなことしてくれるだろうか。聞きに行ってみようかな。」というように、鳥の目になって地域を見る目をもつことで地域の活動や資源と繋がることもできると思います。

 

 

地域のことを知るために、地域に出ることから始めよう

生活支援コーディネーターの皆さんは地域の中にぜひ出ていってください。

「なかなか地域に出ていくのが大変。」「どう出ていったらいいか分からない。」という人もいるかもしれませんが、地域に出ていくといろんなことが見えてきます。

住民は、すごいノウハウ持ってます。70代の方は、人生70年生きてきているのでいろんなことを知っています。「このことだったらあの人に聞いてみれば。」と地域の情報を教えてくれます。

 

 

また、居場所づくりをしたいという住民がいれば、「あそこの空家や、あそこの施設を使えないかな。」と考え、空き家や施設のオーナーを調べて問合せをしてみたり、実際に現地に出向いて様子を聞いてくることも大切です。

こんな活動を繰り返していると「家の空いたスペースを使っていいよ。」と言ってくれる人も出てきます。こういった時に情報を活動者に繋いでいくことも生活支援コーディネーターや協議体の役割です。

重く考えず、まず地域に一歩出るというところから、少しずつ考えていければいいかなと思います。

今日は、行政、包括、社協のみなさんもいらっしゃいますので、本日の研修から得た情報を参考に、ご自分の市町村で今年度何が出来るか、そして来年度の計画を考えるきっかけにして欲しいと思います。

 

 

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