• いくつになっても住みやすい「ええまち」づくりを応援するプロジェクト

ええまちづくりのええ話

大阪府内の地域団体の活動事例や、行政職員や生活支援コーディネーターの研修の発表も広く掲載。
団体の活動の参考にしたり、市町村の仕組みづくりに役立つ記事がたくさんです。

第2回ブロック会議 住民主体の互助活動の事例紹介 ⑤ハッピークラブ特定非営利活動法人

2018年3月8日

大阪府内の高齢者の介護予防、生活支援、生きがいづくりなどに関わる市町村担当者、生活支援コーディネーターなどが、住民主体の互助の具体的な活動事例を学びながら、情報共有と関係者間のネットワーク強化を図る第2回ブロック会議(中央)が開催されました。住民主体の互助活動の事例として、池田市伏尾台で、デイサービス、ケアプランセンター、サロン活動などその時の地域のニーズを汲み取りながら、20年以上にわたって着実に継続的に地域の高齢化をしっかりと下支えされている「ハッピークラブ」代表の菊池さんにお越しいただきました。その活動の立ち上がりから現在に至るまで、どのような経緯を辿って事業の継続を守り続けてきたのか、また、行政の縦割りに左右されずに利用される方の社会的な関係性を一番に考えた事業展開についてお伺いしました。

ハッピークラブ代表菊池さん(左)

*この記事は、2017年11月28日開催、大阪ええまちプロジェクト第二回ブロック会議での事例紹介の内容をもとに作成しています。

関係性を維持しながら社会的な健康をまもる場づくり その立ち上がり

伏尾台は池田市の北に位置していて坂の多い街です。ハッピークラブはデイサービス、ケアプランセンター、街かどサロンなどの活動を運営しています。そして地域の地区福祉委員会とも連携して、サロンの中で介護予防、地域の中での支え合いに取り組んでいます。

地区福祉委員会に所属しているメンバーが社会福祉協議会の事業である、ふれあいサロンを始めました。はじめは月に1回午後のみの開催からでした。

1人暮らしや昼間お1人の方が多いので、お昼も出して一緒に食べられたらいいなということになりましたが、直ぐにお料理をして下さる方を見つけるのは大変なので、しばらくは近くのスーパーで買ったり、お弁当屋さんの配達も頼んだりしました。

ようやく、作れる方が見つかり、会館には調理室があるのでそこで作るようになりました。

地区福祉委員会の会議の中で、自分たちの将来のこと、どこの老人ホームに入ろうか、今あるあそこにはいきたくないね、と話している内に、自分たちが行きたくなるようなデイサービスを作ろうということになりました。

ふれあいサロンは1996年から始め、その後、2003年にNPO法人を立ち上げて、デイサービスを始めました。定員11名、靴を脱いであがってもらい、普通の小さな民家で過ごしてもらうデイサービスです。

その後、ケアプランセンターを2008年に立ち上げました。ふれあいサロンを始めた頃から車で送迎ができたら……という話題は出ていましたが、事故を起こしたら……ということでできていませんでした。

それでも私たちもやってみようということで、運転する人も乗る人もお互いに誓約書をとりあって、ボランティアする方の車を使って車での送迎を始めました。

これがカーボランティアの始まりです。

色々なことをしながら、ふれあいサロンをやってきましたが、参加者の皆さんの足が弱っていること、腰痛、膝痛で困っていることがわかってきました。いつまでも自分の足でふれあいサロンに来られるように、健康維持や筋肉トレーニングが必要と思うようになり、そのためには週3回筋トレをするのが理想的と聞きましたので、ふれあいサロンを週1回から週3回に変更して介護予防になるようにしていきたい。転ばない体を作る為には来て頂いて体操をするのが一番良いと考えました。

そのときに大阪府の補助事業の街かどデイハウス事業があるのを知り、申し込みました。

そして2005年から週3回やれるようになり、いまは池田市の池田市地域介護予防活動支援事業の「街かどデイハウス事業」として実施しています。

これまで続けてきた、ふれあいサロンは介護認定の有無を問わず65歳以上のどなたにでも参加していただけるものでしたが、街かどサロンは介護保険の認定を受けていない、健康な方が対象です。

そうしますと要支援1、2の方や介護認定を受けている方は来ることができなくなります。

今までふれあいサロンに来られていた方の中には介護認定を受けている方がいらっしゃるので、その方々も来ていただけるように両サロンを同時開催しています。

開催日は月木金の9:30〜15:00までを基本に、金曜日は17:00までやっています。

 

ふれあいサロン、街かどサロンの共存事例

これは朝始まってすぐの様子です。

男性が囲碁をやったり、向こうの方で女性達は脳トレをやったりしています。

11:00頃から、大きな集会所でテーブルをどけて輪になって絨毯の周りを椅子で囲んで、転ばないように椅子に座っての体操やゴムを使った体操、おもりをつけた筋トレをします。

横に調理室がありまして、朝から2名で調理を始めて20名〜25名のお料理を作っています。

材料費は300円くらいですが、内容は結構豪華です。

街かどサロンの参加費は750円、介護予防の体操とお食事と趣味の活動に参加出来ます。体操だけに参加の場合は120円といった設定もしています。

この写真はキーボードを弾いて頂いて懐かしい歌を唄っています。

午後は趣味の活動で、自分たちの好きなところに分かれて練習しています。

大正琴、手芸、麻雀などがあり、発表会をすることもあります。

カラオケがブームで、習いたい人が多かったので、メンバーやスタッフの知り合いの中から歌の上手な人を探し、先生をお願いしました。

月に1曲、新しい歌の練習をしています。

月1回のフラワーアレンジメントもやっています。

地域にいる方で俳句を教えて下さる方はいないか?と探しまして、国語の先生だった方にお願いし教えていただきました。

もう亡くなられてしまったのですが、皆さんで五七五教室を自主的に続けています。

秋の文化祭でこけ玉などの作品を作って展示をしました。

街かどサロンに来られている男性が、ドイツ語が得意と聞いていたのですが、英語を教えてもらえないかとお願いしたら「いいよ」と即答してくださいましたので、午後3時に街かどサロンが終わった後に、生徒さん5〜6人を集めて英会話教室を開いています。もちろんボランティアで教えていただいています。

お花が綺麗な時期にはカーボランティアさんの車に乗ってお出かけしています。

お出かけしながらボランティアも、一緒に楽しむということをしています。

1回あたり3〜4名の方にカーボランティアで入って頂いています。

街かどサロンでは、月に1回ウォーキングをやっています。(任意参加)

年に1度日帰りのバス旅行も行っています。

参加者が担い手になるところまではいっていないのですが、お願いしたら何かができそうな、才能のある方はいらっしゃると思っています。

 

質疑応答

質問:

1996年から20年の活動歴ということなのですが、現状の職員、ボランティアの方、利用者はどれくらいの規模ですか?

 

回答:

デイサービスの職員は常勤4名で、利用者さんは11人までです。

ケアマネは4名、デイのスタッフが15名、調理スタッフ2名、調理補助が3名(有償ボランティア)で、合計20名です。

私たちのボランティアは20年前に始まり、私も当時40代でしたが、当時60代の方は今80代になり、お休みや辞められる方も出てきています。

街かどサロンのスタッフは5名、有償ボランティアが15名、無償ボランティアは2~3名で合計22名です。

関わる時間はまちまちですが、合わせて40名以上の方が関わっています。ボランティアから始まったので沢山の人が関わっています。

街かどサロンの参加者は増えたり減ったりで、一定ではないのですが、介護認定のない65歳以上の方々が対象で、月曜日41名、木曜日18名、金曜日20名です。

ふれあいサロンの参加者は65歳以上で介護認定の有る方が対象で、月曜日11名、木曜日8名、金曜日11名となっています。

1ヶ月の利用者は、街かどサロン316名、ふれあいサロン80名。

1年で、街かどサロンが3,320名、ふれあいサロンが799名となっています。

スタッフ、ボランティアの総数でいうと、街かどサロンは1年間延べ1,246名が関わっています。

 

質問:

今、ハッピークラブさんで適用されている事業の枠組を可能な範囲で教えて下さい。

 

回答:

補助金は2通りありまして、年間364万円の補助金を頂いています。

街かどサロンの事業費補助が年間124万円です。大阪府の街かどデイハウス支援事業の規定で、週3回以上、1日4時間以上の実施と、1日に5人以上の利用者が条件です。街かどサロンは趣味活動とレクリエーションそして閉じこもり予防、安否確認が目的で地域住民による地域支えあい活動です。

今は池田市が引き継いでくださっています。

介護予防教室は一般介護予防の補助金が年間240万円で運動機能向上、認知症予防、口腔機能向上が目的です。

皆さんからいただく参加費ですが、市や府の事業の場合、参加費が入りますと、入った分は引かれることになっています。

たとえば介護予防の参加者は2時間120円頂きますが、その分は補助金から引かれます。

参加が増えれば増えるだけ引かれることになるのです。

 

質問:

街かどサロンの場合は、介護予防の部分と安否確認を足し合わせて1日4時間以上。

街かどサロンと同時開催する形でふれあいサロンを行うのがハッピークラブさんの活動のミソでしょうか。

 

回答:

最初はふれあいサロンを街かどサロンとして週3回実施するつもりで計画していました。しかし、街かどサロンに対象者の規定が有り、今まで来ていた方が参加できなくなる事に気づき、何とか続けて来て頂くにはどうすればいいかと考えたときに、ふれあいサロンも同時に開催するという方法しか見つかりませんでした。

 

質問: 

地域の介護予防という観点でいうと、要介護者の方と非該当の方とがいらっしゃると思います。

昨今、総合事業B型というものがありまして、そこの事業をやろうとすると、要支援や要介護など、チェックリストで選ばれる人が半分以上いなければいけないという話になるので、要介護はデイサービス事業としてやっていて、非該当の方には街かどデイハウス事業のお金をうまくつかいながら一緒にやることで、要介護の方と、非該当の方を交流できるような形で事業をやっていらっしゃるという認識でよいでしょうか。

 

回答:

ふれあいサロンはデイサービスではありませんが、対象者を65歳以上の虚弱な方としていますが、とても柔軟に使えます。なので、私たちはふれあいサロンの対象者は要介護者(介護認定を受けた方)でもトイレと食事が自立している方であれば受け入れています。

ふれあいサロンや街かどサロンを利用される方には、事業の違いが分からないように同じフロアで一緒に交流していただいています。

認知症の方も来られているので、揉め事のないように、その人が認知症とわからないようにスタッフがフォローしています。

ふれあいサロンと街かどサロンの経費の部分は按分してきっちり分けています。

ハッピークラブには活動拠点が2つあります。

ひとつは、民家を改造したアットホームな建物で、デイサービス事業をしています。

もうひとつは、コミュニティセンターのような場所を使ってやっている、街かどサロンとふれあいサロンです。

ふれあいサロンに来る人には要介護、要支援の方がいらっしゃいます。

要支援になるとデイサービスへ行くというのが決まりきった介護の形だと思いますが、要介護や要支援になったからといって別の場所へ移ってサービスを受けることになると、これまで作ってきた人間関係が切れてしまう一面があります。

長く交流していると私たちとも仲間意識が芽生えてきていましたので、今まで来て下さっていた方たちが、できるだけ長く同じ場所で皆さんと過ごして頂きたいという思いがあります。

なるべく、来られる間は来て欲しいと思っています。

そのために、足が悪くなった人向けにカーボランティアを用意していますし、来て運動して健康でいていただく、介護認定を受けないでいただくというのが私たちの希望でもあります。

私たちの考え方で、街かどサロンとふれあいサロンを同時に運用する今の形になりましたが、池田市と社会福祉協議会の中では、2つをきっちりと分ける様にという考えがあり、大目に見ていただいていると思っています。

 

質問:

行政や生活支援コーディネーターとの連携で、ここは苦労しています、ここはうまくいっているのでご推薦できますよなど、共有いただけるお話があればお聞かせください。

 

回答:

サロンは高齢者を対象にしているので事故や怪我の無いようにしなければいけません。見守りながらの体操ですし、見守りながらの6時間ですので、どうしてもスタッフが必要です。そういうこともあって、ボランティアでなく、お給料が出せる方法を探して、街かどデイハウス事業の補助金事業を見つけました。

大阪府の方針で2008年に福祉事業が随分見直しになりました。

その前から「あり方検討会」というのがありまして、そのなかで街かどデイハウス支援事業が、ただの安否確認、閉じこもり予防ではなく、介護予防に力を入れなければいけなくなっていった、と記憶しています。

見直しが実施されるまで1〜2年くらい時間があったと思います。

その間に私たちは介護予防スタッフの研修を受けさせて頂き、5人がその資格と介護予防のやり方と評価の方法を習いました。

これをもってこれまでの街かどサロン事業を続けていきたい、こういう資格も取らせてもらったので役立てたいと、池田市にお願いに行きまして、認めていただくことができました。

そして今、続けることができていますので、とても感謝しています。

 

質問:

スタッフを集めることや、参加する男性を集めるのはとても大変かと思います。

人集めをどのようにされたのか、広報活動について伺いたいのと、男性が参加しやすくするために工夫されたことがあれば教えてください。

また、ボランティアさんの平均年齢を教えてください。

 

回答:

街角サロンを始めた頃は有償ボランティアといっても時間給が400円も出ない状態でしたので、伏尾台に住んでいて、子どもが小さく外に働きにいけない女性、40代中盤ぐらいまでの人をターゲットにしました。

小学校の役員さんなどの中からあの人は良さそうだなぁと思う人に声をかけて、友達を誘ってもらうこともしました。

お料理を作らなければいけないので、料理が上手で高齢の方ともおだやかにお話ができる方を探しました。

男性のボランティアさんについてはツテで探すのが難しかったので、参加者の中から探しました。

まず男性になるべく来て頂くために、健康麻雀、囲碁、ウォーキングを始めました。

カラオケ教室は男性も女性も人数を増やすために始めたのですが、意外と男性が多く来られました。

そして何気ない会話の中で、趣味やできることを探っていきながら、これができそうという感じの方に声をかけました。

皆さん謙虚なのですぐに断られてしまうのですが、しつこくお願いしたら囲碁や麻雀の先生になって頂けました。

ボランティアさんは55歳から85歳ぐらいまでなので、平均年齢は70代はじめになっているかと思います。

 

質問:

ボランティアさんに来ていただいた時、受け入れ側として体制が整っていなくて長く続かずに辞めてしまうというケースがあります。

受け入れの段階で工夫している事があればお伺いしたいです。

 

回答:

私たちの活動を一緒に始めた方の中に、他の地域で活動をされている人がいました。

その方から、ボランティアも参加者の方も一緒に楽しめるという状況を作っていこうという意見がありました。

一緒にご飯を食べたり一緒にお出かけしたり、なるべく、楽しいところだという事を印象づける。それがボランティアしているのが楽しい、すごく得したなと思って帰って頂けることを目指しています。

若い年代の方々や男性ボランティアさんについてはまだまだ課題も多く、声掛けできていません。大阪ええまちプロジェクトのプロボノさんに相談をしている最中です。

 

質問:

サロン活動の要支援者への支援分は通所型サービスB、一般介護予防事業どちらで支援しているのですか?

 

回答:

介護予防教室は一般介護予防事業の補助金をいただいていますが、街かどデイハウス支援事業(街かどサロン)と、池田市地域介護予防活動支援事業(介護予防教室)は、非該当の方々が対象です。

要支援の方や介護度のある方々は、伏尾台地区福祉委員会実施の「ふれあいサロン」の対象になりますので、地区福祉委員会からの補助金を頂いています。年間20万円ぐらいだったと思います。

ふれあいサロンで参加しながら介護予防の体操等にも参加していただいているということです。

ですので、同時に実施しているために、結果的に街かどサロンや介護予防教室の恩恵を受けている形になっています。

 

質問:

移送サービスの内容・概要を知りたいです。

 

回答:

伏尾台の地域内だけの移送サービスになります。

年会費はなく、利用会員と協力会員になって頂き誓約書を書いていただき、社会福祉協議会の会員になっていただくのが条件です。

社会福祉協議会の会員になりますとボランティア保険に加入できますので、サービス中の自身の怪我や利用者さんに怪我させた場合も治療費が出ます。

協力会員さんの自家用車にての移送です、自動車損害賠償保険に加入していることが条件です。

 

大阪ええまちプロジェクトでは、ハッピークラブの「若い世代や男性のボランティアの輪を広げるためにできることを考える。」を応援しています。

 

 

ええまちづくりのええ話へ戻る

この記事を読んだあなたへのオススメ記事
この記事を読んだあなたへの
オススメ記事