ええまちづくりのええ話

インタビュー
趣味のマラソンにも通ずる「少しずつを積み重ねる」楽しさ
(プロボノワーカーインタビュー)

※こちらのインタビューは、2019年1月に実施したものです。

 

最初に関わった1DAYチャレンジでプロボノの楽しさに強くひかれた藤村英樹(ふじむらひでき)さん。
支援先の皆さんが、成果物を活用して変わっていく場面を見つめられる魅力から「毎年新しい挑戦につながるプロジェクトを1つずつやっていこうと思っています」と、プロボノも、趣味で続けておられるマラソンのように継続した活動になっておられます。
続けたくなる、プロボノの楽しみ方の秘訣は、初めて参加しようと思う方にも優しく届くメッセージでした。

「知らなかったことを知る」出会いがエネルギー

最初に参加したプロジェクトは、2016年の西成区で活動する「ココルーム」さんの課題整理ワークショップでした。

この町には、かつて仕事を求めて全国から移り住み、日本の高度成長期を支えた日雇い労働者が今も多く住んでいます。「ココルーム」は、時代の流れとともに孤立と高齢化が進む彼らと向き合い、誰もが集える場づくりとしてカフェを運営しています。
一緒に暮らす町の中で、治安改善などの名目で彼らが排除されてしまう状況に「そんなことはさせないぞ!」、という視点で取り組んでおられました。
まず自分自身が、その町に足を踏み入れたこともなかったし、仕事だけでは出会わなかった人と出会い、刺激になりました。
単純に「知らなかったことを知る」ワクワクした気持ちになりました。

大阪ええまちプロジェクトには、「翌年も何かやりたいな」と思っていた時に、自分の住んでる町の近くの団体の支援ができると発表があり、参加してみました。
西山田ふらっとサロンは、2・30年前の当時に 子育て世代でこの町に住み始めた方が高齢者になり、これから先も孤立せずに誰かと話して過ごせるように、と15年くらい前からやってる街角サロンです。
元々公民館の館長をしておられた方が代表で立ち上げ、今は10数名の運営メンバーと70名くらいのボランティアメンバーで活動されています。
運営に関わる皆さんが高齢者。お互いを支えつつ、いくつになってもこの町で元気に暮らしていけるまちづくりをしています。

キックオフで初めてお会いした時も、みなさん元気でやりたいことがいっぱい。
言いたいことは率直に伝えてくれるし、将来の話もたくさん聞かせてくださる、エネルギーに溢れる方々でした。
接して感じたのは、支援先の皆さんがプロボノのメンバーに対して、いつも大きな感謝の気持ちで接してくださったことです。
サロンへ行くといつも喜んでくれるんです。プロボノのメンバーが、地域や団体の活動の外から訪ねて来て、話を聞いてくれることで、気持ちが解きほぐされるのでしょうか。
そんなやり取りができたので、プロジェクト期間中もお付き合いしていて、すごく気持ちいいなと感じていました。

 

知らなくて大丈夫。教え合うことでお互いに変化が生まれる

地域団体やNPOの方って、なんだかこだわりが強そうで、仲間になるには「ややこしい」印象があるかもしれませんね。
確かに、プロボノとして関わるまでは、とにかく全部知らないことだらけ。
だから、こちらも「支援する」というより、行ってみて初めて、自分も支援先の皆さんの考えに触れ「年をとるってこういうことなんだ」と勉強になるし、何に困っているのか知らないところから分かるようになる。
そこが面白いと思っていました。

初めてプロジェクトへ参加する、プロボノへ一歩踏み出すのに「その世界のことを全然知らないというのは大丈夫?」と不安に思われるかもしれませんが、僕は、その必要はないかなと思います。
なぜなら、分からないことはきちんと話を聞けば教えてくれます。
その代わり、相手ができないことで会社勤めの自分たちが知っていることを伝えて、団体の運営や進め方に何か変化があればいいな、と思います。

支援する中で仕事のスキルがどこまで活きるのか?何が役に立つのか?と不安なところもあるでしょうが、チラシのデザインやウェブサイトのコーディングなどの本当に専門的なスキルのところを除くと、おおよそのことが役に立ちます。
例えば、相手の話をしっかり聞いてまとめる、考えを分かりやすく伝える、チームのミーティングをうまく進めるなどです。

 

プロボノは真面目に楽しく。仕事とはちょっと違う“進め方”

唯一必要なスキルは、初めて出会った人ともチームを組んでプロジェクトを進めていけること、でしょうか。

支援先さんへ考えてきたことの説明をして伝える場面では、難しいことも多いですが、
何かを決めてもらう時に、予め選択肢を用意し、その中から選べるようにするなど、場面への対応力があるメンバーに助けられました。

使っているのは皆さん共通のスキルですが、それぞれが少しずつ違うんですよね。
色んな違いがあり、「あ、この人うまいな!」「こんなやり方あるんや」「こんな風に書いたら分かりやすい!」と新しく知らないやり方に出会えます。

実は、以前別のプロジェクトでは個人の事情でメンバーが離れてしまったこともありました。
それによって、納品までに時間がかかることになり、メンバーに負荷をかけてしまった経験の反省から、西山田ふらっとサロンのプロジェクトでは、最初に「期間内で終わること」を決めていました。
その話はメンバーにもかなり印象深く残ったようで、みんなの協力もあって達成でき、前回の反省が活きたなと思います。

納品までの間で、支援先さんとの決められたミーティングは、期間の中でたった3回ほど。
けれど、ミーティング以外の場面でも団体の色んな活動を見学に行ったりしていました。
そんな場面に参加するのも、プロボノの醍醐味。
知らないことを知るのは面白い、という気持ちで楽しみながら都合のつくメンバーと一緒に参加していました。

プロボノは仕事ではない。
だから、仕事のつもりでやろうとすると行き詰まります。
仕事なら当たり前に言われる「納期や品質」。それだけをプロボノのプロジェクトでタイトにやろうとしたら無理が起こります。
なぜなら、プロボノの活動は、それぞれ個人が家庭や仕事もある中で取組んでいることだから。それら色々あるなかで、どこまでできるか、を考えることがポイントだと思います。

仕事で言うと、「クオリティが一番大切」。だけど、そこよりまず、とにかく「進める」こと。
仕事のつもりでやりだすと、とたんに苦しくなってしまう。
できたところから、次のことを考える。そうやって高めていくやり方です。

加えて、「楽しくなかったらダメ」と思っています。
やるからには、楽しさ最優先です。

作る過程も、支援先からアイデアを寄せてもらえるような作り方だとすごくやりやすいですね。
「こんなのかな?」と形を作って、それに対して意見をもらいながら一緒に作り上げていくのがいいのかも。
最初から「完璧なものは、これです。」とならない。
相手もこちらも、欲しいものが分かっているわけではないですからね。

そうしてできた成果物は、支援先の満足度は高く、「クオリティに満足」というだけでなく、一緒になってやってくれたことに満足して活用していこうと思ってくださったのかな、と感じます。
プロジェクトでは、支援先もメンバーも「一緒になってやることでの楽しさ」をどう作るかを大切にしています。

 

「一緒に作り上げる楽しさ」は、納品後にも訪れる

初めて出会う人同士、最初っから色々約束しすぎると大変になりますよね。
「あれもこれも作りたい」となるのも大ごとで、最初の入り口はなるべく拡げすぎずにいようと思っていました。
その中で、メンバーの力量でできそうだったから、「じゃ、やろう」となりました。

また、成果物も最初から完璧に使えるわけでもなく、エクセルで作ったシフト管理の仕組みを、支援先のみなさんも「<できる人>だけに任せず、<みんなで>この仕組みを使えるようになろう」と、パソコンが得意な方に講師役になってもらって教わるパソコン教室も、活動の中で始めたんです。
そうやって皆さんの「行動を変えられた」のが、実は一番の成果かな、と。「成果」って、そういう「変化」だと思います。

プロボノを始めてみようかな、という人へ

プロボノをやろう・関心がある、という方は、何か自分の中で新しいことやってみよう・変化を起こしてみようとの思いがおありかと。
まさに、それにはうってつけの場、だと思います。
なぜなら、始めるのに何の投資もいらないし、すぐできる。
実際にその一歩を踏み出してもらうと、すごく色んな刺激があり、何よりプロボノをやっている人たちって、実際にその一歩踏み出した人たちばかりなので、前向きで刺激的。

一度試しに、一歩踏み出してみると、面白い世界が広がります。
そして「自分のスキルの何が活きるかな」と不安かもしれないけれど、普通のことの積み重ねでゴールに近づいていきますよ。

 

藤村さんが関わった西山田ふらっとサロンのプロジェクトの様子はこちら

 

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