ええまちづくりのええ話

大阪府内の地域団体の活動事例や、行政職員や生活支援コーディネーターの研修の発表も広く掲載。
団体の活動の参考にしたり、市町村の仕組みづくりに役立つ記事がたくさんです。

みんなでつくる わがまち、ええまち
「担い手への誘いかけ、地域資源を活かして巻き込む」

2019年8月16日

2019年2月26日、ドーンセンター(大阪市中央区)にて、大阪ええまちプロジェクト「大交流会」を開催しました。

第1部「~みんなでつくる わがまち ええまち~」のパネルディスカッションでの、各地域での”ええまちづくり“の取り組みをお伝えします。

 

前編はこちら

 

Q呼びかけても来てくれない人へ、どうアプローチするか、どこまでサポートを届けるか、どうお考えでしょうか?

吉村:サークルの集まりに行くと、地域包括ケアシステムのことをご存じない方がほとんどです。

今が楽しいと、10年後のことを考えることは難しい。

ですから、「このままでいくと10年後どうなるのか」ということを聞く取り組みをしています。

 

藤井:講座の内容を、地域の現状・未来について考える方向で構成し「一緒に考えませんか?」と呼びかけています。

また、地域ケア会議を毎月2回、開催しているのですが、医療関係者などの専門職を集め、地域包括支援センター職員・ケアマネさんたちが持ってきた具体的な事例をその場で討論します。

会議の主役は生活支援コーディネーター。

普段の活動を通して生活支援コーディネーターが認識している地域の資源を皆でどうすれば活用できるかを考えたり、ニーズの発掘などをしています。

吉村:私は毎月の地域ケア会議で上がってきた課題を、どう地域の企業に伝えていくかという取り組みをやっています。民間企業の力というのはすごく大切です。

大東市もそれを重々承知しまして、いろんな協定を結んでいます。

 

これからの潜在顧客は高齢者で、困りごとを事業として活動されている企業に集まっていただいています。

民間で高齢者の支援をしているところはたくさんありますが、それをケアマネさんが知らないという現状があります。

その現状を解決するために、今回プロボノさんと連携を組んで、ホームページ「知っときゃ安心 大東チャンネル」を作り、ケアプランに生かしていただけるような資源集にしたい、と取り組んできました。

また、大東市でいろんなチャンネルを作っていきたいという思いがあり、家事支援であったり送迎であったり、困りごとのいろんな検索機能を付けて、高齢者だけではなく将来的には障がい者、子育てというようなチャンネルもつくっていきたいなと思っています。

 

 

藤井:豊明市では14社と協定を結ばせていただいておりますが、民間企業は高齢者に対するサービスや商品が充実しているにも関わらず、それをなかなか市民の方にお知らせしきれていない。

そういったところに豊明市は協力して一緒にPRをし、介護保険を使わないサービスとして民間企業をご紹介し、利用していただく流れをつくっています。

 

Q:行政がある特定の会社を紹介すると、「宣伝」とは捉えられないのでしょうか?そのように誤解されていないポイントはどこにありますか?

藤井:「どの企業さんとも協定を結びますよ」とオープンにしておりますので、これまでは苦情はありません。

 

吉村:大東市は現在41社と協定を結んでいます。

例えば、「アクセスライフ」という調剤薬局に薬を申し込むと、薬と一緒に薬局で売っている水やトイレットペーパーなどいろいろな商品を配達してくれます。

また「アカカベ薬局」では給食事業もやっています。そこで給食を週に1回でも利用すると、アカカベさんで売っている米や水などいろいろな商品を無料で配達してくれます。

その他に「生活保護の方には永代供養を0円でやるよ」といった、様々な企業さんの情報を収集して参画していただいております。

 

Q:今後どのようなことを取り組もうと考えていますか?

 

佐藤:2点あります。1つは若い人たちに磯長台に移り住んでいただけるような取り組みをする。会員の方々に息子や孫に「一緒に住もう」「帰ってきて」と言おうと言っています。子育て支援などが充実した住みやすい地域に変えていくことで、若い人たちが住みたいと思えるような磯長台にしたいと思っています。

2つめは自治会を変えていかなければいけないと思っています。

70代後半から80代の人たちは、あと10年たって自治会の役が回ってきたらたら役ができるだろうかと皆不安を持っています。「もうできないから脱会する」という人がどんどん出てきて自治会が崩壊していくのではないかと危惧しています。

 

持続可能な自治会を考えると、今は危機的な状況だと思います。自治会のこれからについて時間をかけて徹底的に話し合う場を持ち、合意したことから次々に改善していき、全住民が参加する自治会を実現したいと思っています。

そういう自治会があり、それにNPOがあってはじめて面として地域が変わっていける。

私は磯長台を日本一のコミュニティにすると宣言しています。この実現に向けて頑張っていきたいと思っています。

 

吉村:先ほど紹介したホームページを「ケアプランに本当に役立った」という検索しやすいものに仕上げていくいこと。

また、高齢者の方などの賃貸契約を円滑にするように、大阪府は「大阪あんぜん・あんしん賃貸住宅登録制度」を各市町村の不動産屋さんにプロモートしています。

大東市でも17社ありますが、府・市といろいろな連携をとりながらさまざまな情報をお届けして「安心して家でも生活できる」「大東市っていいとこ」という、まちづくりに今後も取り組んでいきたいと思っています。

 

藤井:現在、「乗り合い送迎サービス」を企画しています。

協定企業である「アイシン精機」という車の部品メーカーと、「スギ薬局」・豊明市の三者で協力し「ちょいとそこまでごいっしょに」というコンセプトで「チョイソコ」という仕組みを考えており、今年の7月から試験的に無償試験運行をやります。

4月から始める予定ですが、病院やスーパー・スポーツクラブなど停留所になり得るところにスポンサーになっていただいて、停留所を置く代わりにお金を頂戴する。

約200円程度の利用料金とスポンサー料金で、乗り合い送迎バスを運用していくようなシステムになっているのですが、道が狭くて坂が急で、公共交通のバスが通れないようなところにチョイソコを走らせ、新たな公共交通として高齢者の足を支えていこうということで始めました。

 

すると面白い活用法が見えてきました。

たとえば「携帯電話の手続きがわからない」という場合、「ちゃっと」と「チョイソコ」を組み合わせて、利用者とサポーターが二人で携帯の店まで行って一緒に手続きするという組み合わせも可能になります。

また、スポーツ施設など停留所のところで高齢者の方が行きたくなるようなイベントを打って、チョイソコを使って外出支援をしていけたらと考えています。

 

村田:チョイソコ」なんていいですよね。こういうキャッチコピーがすごく大事だと思います。

一方で「生活支援コーディネーター」「地域ケア会議」といった言葉は、関わっている人はイメージがすぐにわかると思いますが、それ以外の人には、一体どれほど伝わるのでしょうか。「地域包括ケアシステム」を知らない人がいっぱいいる。

それが現実だと思います。

 

関わっている人たちと、そうでない一般住民との乖離がますます激しくならないように、いかにギャップを埋めていくかという「翻訳機能」が大事になってきた時期だという気がします。

 

それともう一つ「ええまちつくろう」です。

「ええまち」ってどういうまちなんでしょうか。たぶん地域によって自分たちが考える「ええまち」は違うと思います。「私たちにとってええまちって、どういうまちなんだろうな」ということを一人ひとりが考える、今はそういう時代という気がします。

 

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