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はなれていてもつながるええまちづくりに向けて -オンライン課題整理ワークショップ‐

先の見えづらい今、いかに地域活動を続けていくかの「課題整理」に取組む

大阪各地で活動する団体とプロボノワーカーが、Zoomを使うオンラインでの課題整理ワークショップで、団体を支援

新型コロナウイルス感染症の影響で、対面での交流や行事などをおこなってきた地域団体、NPO団体の運営は、「これまで通り」が通用しない大きな変更を迫られています。

企業などはメールやテレビ会議システムなどのオンラインツールを駆使して在宅勤務ができる体制を導入し、日常的な三密(密閉・密集・密接)を避けて活動する方向に力を入れ始めています。

しかし、地域活動においては、参加者・利用者さんたちをはじめ、団体運営者も比較的高齢の方々が多く、オンラインツールは便利と言われても使い方に慣れていません、また、ICTの環境を整備するほど潤沢な資金もないことが多く、個人所有の携帯電話やパソコンに頼らざるを得ない状況で、導入への大きな壁が存在することも確かです。

このような中でオンラインツールを有効に用いながら、可能な限り三密を回避し地域活動を実施するための取り組みが課題となっています。

 

そこで、大阪ええまちプロジェクトでは、7月11日に「オンライン課題整理ワークショップ」を実施しました。

利用者さんとの関係づくりや活動にオンライン活用を模索する5団体が参加。

それぞれに4人のプロボノワーカーが加わり、団体の目指すものを受け止め、実現に向けて抱える課題を整理し、最初の一歩を踏み出すためのワークショップを実施。

加えて、この会自体も、参加者全てがオンラインテレビ会議システム(Zoom)上で集って行いました。

(ライター:山蔭ヒラク)

 

参加団体紹介

当日参加されたのは次の地域活動団体の皆さん。それぞれの本ワークショップへの期待とあわせてご紹介します。

■介護予防サポーターの会「健やかスマイル」(富田林市)

介護予防サポーター会員自身のオンラインツール導入のハードルを下げべく、Zoom等を使って、会議や研修ができるようになりたい。

■こもれび相談室(池田市)

LINE公式アカウントを活用したつながりづくり、今後に向けた参加者のオンラインの入り口づくりを検討したい。

■住まいみまもりたい(大東市)

新たな仕組みづくりに向けて、生活サポーターのスマホ活用を円滑に進める方法を考えたい。

■ボランティアネット コル(茨木市)

高齢の利用者への連絡やプログラム提供にオンラインを活用していきたい。

■ゆるりん(豊能町)

LINE公式アカウントを活用した会員さんとの新しいコミュニケーションの形を考えたい。

 

【ピックアップ・レポート】住まいみまもりたいの場合

全員が集う会の冒頭で、大阪府 福祉部 高齢介護室 介護支援課 地域支援グループ・西辻氏からは「府内は、これからICT活用が期待されるところです。今回のワークショップがこれからの地域活動を盛り上げるきっかけになれば」と挨拶。

続いてサービスグラント事務局より、本ワークショップの目的はオンライン導入への課題整理とその先の「入り口」を探ることと説明。

その後は、Zoom上で参加者をグループに分けることができる機能を用いて各団体とプロボノチームが「小部屋(ブレイクアウトルーム)」に分かれ、いよいよ80分間のワークショップがスタートです。

ここではライターもプロボノチームの一員として参加した「住まいみまもりたい」のワークショップの模様をレポートします。

プロボノチームでは事前にZoomでミーティング(作戦会議)を実施。過去に住まいみまもりたいの支援をした経験者から団体さんについての情報共有、ワークショップで使用するオンラインツールの選定などを行いました。

さあ、いよいよワークショップがスタート!

 

前半:団体が抱える課題の聞き取り

高齢者へのインフォーマル(介護保険対象外)な生活支援を、大東市と連携しておこなってきた「住まいみまもりたい」。

団体からは代表の吉村さんと、主にIT関連業務を担当する方が参加。4人のプロボノワーカーとともにこれからのスマホ活用についての課題整理&企画提案への取り組みにチャレンジしました。

プロボノチームは、ICTエンジニア、キャリアコンサルタント、行政職員、コピーライターとして活躍するメンバーで編成。

簡単な自己紹介の後、プロボノワーカー1名が進行役として、代表から今回のワークショップに期待するものを語っていただいた。

 

「150名ほどのサポーターのうち、約8割がスマホを所有しているが、その機能を使いこなせているかと言うとそうではない。」

「サービスの利用者さんはほぼガラケー。これからの時代、対面でのサービス提供・交流をおぎなうものとしてスマホをうまく活用していきたいが、何から手をつければ良いのかわからない。その課題整理と、スマホ活用についてのアイデアを求めています。」

 

さて、ここから課題整理のステップへというときに、プロボノ側にアクシデントが発生。

進行役をつとめてきたプロボノワーカーのパソコンに他の参加者の音声が届かなくなってしまいました。一旦、退出しましたが、その間も臨機応変に別のプロボノワーカーが進行役をバトンタッチ。他のメンバーも自主的に発言し、滞りなく進行できました。

オンラインツールでの予期せぬアクシデントや通信断は、時折あるもので、避けがたいことです。しかし、そんな場合でも、事前にメンバー全体で進め方を共有できていれば、役割を補完し合いながら、停滞することなく進められます。

トラブルから復帰し再接続したときには、共同編集できるオンライン上のホワイトボードツール:Jamboard(ジャムボード)では、課題整理がかなり進められていました。

(目指す姿・課題を書き出して並び替えられた Jamboardの様子)

 

後半:課題の整理と次の行動の検討

議論を深めるにつれ、見えてきたのは「誰が、誰とつながるためのスマホ活用か」という基本軸と、「スマホを使って何をするのか」という展開軸。

 

基本軸では、スマホでのつながり方の3つの場面に分けました。

  1. サポーター同士、あるいは団体運営本部とサポーター間でつながる場面。
  2. サポーターが発信し、利用者が受信するというサービス提供での場面。
  3. サポーターと利用者双方がスマホを持ち、双方向で対等につながりあえる場面。

こうして整理することで、団体の現在地としては、①であることが明確になりました。

加えて、「5年ほど先を見たときに、おそらく利用者さんたちもほとんどがスマホを所有していると思います。(③に到達していたい)」という団体さんの未来への思いも明らかになりました。

 

このあと、ワークショップはスマホの活用法を探る展開軸の検討へ移りました。

「あれも・これもやってみたい」と期待が膨らみ、議論が拡散気味になったとき、プロボノチーム最年少でいわゆるスマホ・ネイティブ世代のプロボノワーカーからは、「優先順位をつけましょう」の提案とともに、最初の一歩として何ができるかという、具体性のある話題へと舵が切られました。

80分のワークショップ終了が近づく中、団体さんとプロボノチーム、見守り役としてホスト側から参加していた大阪ええまちプロジェクト事務局スタッフも交え、実施する時期や進め方などの議論につながりました。

 

まとめ:「学びから活用へ、ステップ・バイ・ステップで前進」

この日、課題整理で見えてきた今後の方向性は次のようになりました。

  • スマホが可能にするさまざまな楽しみ方をサポーターで共有
  • そのために9月から団体、協議体企業、生協などが講師となって「研修会」を月1回のペースで実施
  • サポーター同士のコミュニケーションツールとしてLINE公式アプリ活用を検討
  • オンライン会議システムZoomの使い方を学び、現在集合型・対面でおこなっている茶話会(サポーター相互の交流)をZoomで開催

サポーターの皆さんがスマホの機能・活用法を学び、「スマホがあってできることが、こんなに広がった」という実感をもつこと。

そこから、サポーター一人ひとりが「先生」になって利用者さんたちを巻き込み、オンラインのつながりの輪を紡いでいくことで、これからの時代も柔軟に泳ぎ抜く地域力が育っていく。そんな心豊かな世界が見えたワークショップとなりました。

住まいみまもりたいのチャレンジ紹介ページはこちら

 

【成果発表会】課題整理に注力したオンラインでの支援で できることから次の一歩への足がかりを獲得

会の最後には、全ての参加者が集まり、それぞれの成果が発表されました。団体の実情に合わせた中身の濃い課題整理がなされた様子でした。

 

介護予防サポーターの会「健やかスマイル」(富田林市)

現状:

60代中心のサポーター会員はスマホ利用者が多いが、Zoomなどのオンラインツールを日常の活動に取り入れるには気持ちの面でのハードルもあるとのこと。

課題整理後:

今後は勉強会を行い、お互いに使い方を知ることによってオンラインでできることの底上げをはかりつつ、全てをオンラインで行うのではなく、少人数の対面交流もまじえながらの柔軟な取り組みにしていくことになりました。

こもれび相談室(池田市)

現状:

以前は参加者が集まって体操や歌の会を実施していたが、今後は参加の入り口としてオンラインを考えたいということで討議。

課題整理後:

高齢者にもLINEユーザーが多いことから、LINEで体操などの動画を配信し、スタンプを送ってもらうことで結果的に「見守り」につなげていくというアイデアが生まれました。

ボランティアネット コル(茨木市)

現状:

団体から利用者さんへの一斉連絡機能を充実させるため、LINE登録者を100%(現状50%)にもっていくには何が必要かを探ることが課題。

課題整理後:

プロボノチームから2つの提案が。一つは、体操教室の後に「ライン登録タイム」を設けること、もう一つはさまざまな有用メッセージや特典など「登録することのメリット」をお伝えする、など具体的なアイデアが共有されました。

ゆるりん(豊能町)

現状:

外出を自粛する傾向が続く中、団体内で役員同士がLINEを使って会議をおこなったことで、可能性を感じたとのこと。ただ、比較的若年層が多い団体スタッフと高齢の利用者さんが、すぐに同じアプリを使うのは難しいとの認識も。

課題整理後:

まずは団体スタッフでLINE公式アカウントの学習をYouTubeのコンテンツなどで学習し、利用者さんにも広めていくという方針に着地しました。

 

最後に参加した団体の皆さん、プロボノワーカーへ向けて、大阪ええまちプロジェクト事務局を代表して嵯峨より、今日の感想と今後に向けたメッセージをお伝えしました。

「今回のように限られた短い時間で一気に支援を行う取り組みはプロボノの発祥であるアメリカでもすでに存在します。さらに、今日はオンラインという新しい状況も重なり、戸惑いがあったかもしれませんが、それぞれに成果が見られました。」

「まずは半歩進んだ手応えを大切に、今後次の一歩をどうするかに注力ください。」

 

新型コロナウィルスへの感染防止の観点から、これまで通りの頻度ややり方での活動ができなくなったという変化に、いかに対応するかをポジティブに探った「大阪ええまちプロジェクト オンライン課題整理ワークショップ」。

スピード感もありさまざまなアイデアが飛び交いつつも、団体の次の一歩へつながる課題整理に力点が置かれ、地に足のついた成果の得られたプロボノでの新しい形の支援になりました。

 

参加者集合写真

 

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