ええまちづくりのええ話

大阪府内の地域団体の活動事例や、行政職員や生活支援コーディネーターの研修の発表も広く掲載。
団体の活動の参考にしたり、市町村の仕組みづくりに役立つ記事がたくさんです。

8つの地域団体へ聞く。地域活動の一問一答(大阪ええまちプロジェクト 大交流会 テーマ別分科会)

2024年4月16日

「身近な地域がスタート地点!ここから広がる“ええまち”づくり」をテーマに、2024年2月16日にドーンセンターにて開催された「大阪ええまちプロジェクト」大交流会では、2023年度のプロジェクト型支援に参加した地域団体からの事例紹介や参加者全員での質疑応答を行う3つの分科会を開催しました。

本記事では、それぞれのテーマごとに出てきた登壇団体への質問とその回答を中心にお伝えします。
※各団体の活動紹介動画は記事内リンクよりご覧いただけます。

 

INDEX

テーマ1:地域の魅力が、人をつなぐ

テーマ2:関心を寄せ合いつながる 地域の居場所

テーマ3:新たな活動で、地域とつながる

 

テーマ1:地域の魅力が、人をつなぐ

我が地区・町にある、関心ややりたい事を交流できる場の魅力で、暮らす人をひきつけ合い、つながりを育むには?
キーワード:#エリアマネジメント #交流

▼登壇団体

太子町「磯長台の福祉を考えるつい」

吹田市「南正雀まるっと。」

河内長野市「にわい河内長野21

 

写真左から「磯長台の福祉を考えるつどい」佐藤貞良さん、「南正雀まるっと。」茂上さつきさん(「にぎわい河内長野21」は動画での事例紹介を行い、大交流会の当日はご欠席でした)

 

各団体の活動紹介動画は下記からご視聴ください。

▼磯長台の福祉を考えるつどい
https://youtu.be/GXLPilqj-88

▼南正雀まるっと。
https://youtu.be/kRvkfRQUOcI

▼にぎわい河内長野21
https://youtu.be/iJaR0_7UZAY

 

登壇団体同士での質疑応答

磯長台の福祉を考えるつどい 佐藤さん(以下、佐藤さん):高齢者雇用のための自主事業を目指しておられることは素晴らしいと思ったのですが、具体的にどんなことを考えられていますか?

南正雀まるっと。茂上さん(以下、茂上さん):今いるメンバーでできることを模索していて、1つ出てきているのが「ちょこっとサービス」です。
私自身、ヘルパーの経験があるのですが、ケアプラン通りに動いていると現場では足りないことも見えてきます。例えば、家の中の掃除は大丈夫だけど外の掃除はできないという決まりもあります。元気な時はいつも窓のサッシを綺麗にしておくことが好きだった方が、介護保険サービスでは家の外は掃除ができず綺麗にできないので、その人にとってすごくストレスになっているな、と思っていました。そういうところを介護保険外サービスとして、例えば30分500円くらいで気心知れた「まるっと。」サロンのスタッフが手伝えるといいなと思います。
あとは、地域の外の友達と会うときの手土産にできるように、自分たちでたい焼き屋を始めて地域の名物にしよう、とか妄想を楽しみながらメンバーと話をしています。

 

佐藤さん:40〜60代に参加してもらいたいと思っているのですが、忙しく参加できない人が多いです。どうやって参加してもらっていますか?

茂上さん:自分が40代ということでスタッフの中で一番年下なのですが、「まるっと。」をやっていると、何してるの?と声かけてくれる人もいます。無償ボランティアとわかると「頑張って」という声かけだけの人もいますけど、一定数、地域に対して課題やモヤモヤを感じている人もいらっしゃると感じています。そういう人たちをうまいことスカウトしてきたから今のメンバーに繋がっていると思います。スカウトするときは、楽しいことばっかり言ってます(笑)
私の苦手としている部分を持っている人が来てくれたり、ということにもつながっています。

 

佐藤さん:サロンは月・水・金、10〜16時で運営されていますが、20人のボランティアでどうやって運営していますか?

茂上さん:午前中2人、午後2人のようなシフト制にしています。月1回だけの人もいれば、週3回は入りたいという人もいるので、できるだけ負担を感じないようにシフトを考えています。シニアの方が多いので通院で急に参加できなくなることもありますけど、他のメンバーで交代しながら対応してます。普段のサロンはおしゃべり場になってますが、時々、イベントなども開催するようにしています。

佐藤さん:僕たちのサロンは週に1.5回くらいの頻度でやっています。ボランティアは38人います。1回あたり4名位いたら運営できるので9チームに分けて運営しています。みんなで分担することで1人ひとりの負担を減らしています。

茂上さん:何か変わりたいからプロボノに支援をお願いしたと思うのですが、変わることにためらいはなかったのでしょうか?

佐藤さん:僕自身は住民自治を体現できるような磯長台に変えなきゃいけないと思ってやっています。ですから、もともと変わることにためらいはないわけです。
地域で孤独死が出たので高齢者問題に取り組まないといけないという話が出たのですが、自治会では、仕事をこれ以上増やせない状態でしたので取り組めなかったわけです。それで、自治会役員がやるのではなく、高齢者問題に関心のある自治会の会員に呼び掛けて取り組んでいったのがスタートです。来てくれたのは4人くらいでしたが、今は全世帯の25%くらいが会員になってくれています。自発的に関心のある人達で始めて、活動を積み上げてきて19年になりました。継続することが大切だと思います。
最初はホームページを作ろうという発想だったのですが、話をする中で比較的若い人が使っているインスタに取り組もうということになりました。でも、「つどい」の役員は誰ひとりインスタをやっていない状況だったのです。だけど、やり始めると、関心を持ってくれたり面白がってくれる人たちもぼちぼち出てきました。

茂上さん:私もアナログ人間なんですが、インスタを始めてみたら、スタッフのお孫さんが見て喜んでくれている、という声が聞けたりします。紙媒体で伝えるよりも、写真や動画であげることで活動の中身もわかりますよね。

 

参加者からの質問への回答

質問:代表者に強いリーダーシップや求心力があると、メンバーが受け身になってしまいがちですが、積極的に参加してもらうような仕掛けや工夫はありますか?

佐藤さん:事業ごとに担当するグループを作っていて、運営も責任を持ってやってもらっています。担当は僕から声かけすることもありますが、自発的にやりたいと思う人が手をあげてやるというのが基本です。

茂上さん:実はスタートしたばかりのころ、私の熱量が高い状態でしたが、コロナ禍は自分たちの活動を見つめ直す期間になりました。私たちのサロンでは、看板娘のおばちゃんや83歳の副代表の方を目当てに来てくれる方がいるので、自分は黒子に徹することにして、私がサロンに全然いかなくても大丈夫になっています。サロンに集まるボランティアさんもお客さんもいろんな目的があって参加してくれています。生活のリズムをつけたい人、人とおしゃべりしたい人、会いたい人に会いにくる人、私たちも考えないような出来事もあったり、そういう日々の繰り返しです。

 

質問:地域には自治会とか地区福祉委員会など、既存の組織はある中で自ら新しいものを作って自分たちでやるのはなぜでしょうか?

茂上さん:地域にはオレンジカフェやいきいきサロンもありますが開催は月1回なんです。私が「まるっと。」をやりたいと思った1つの理由が、シニア、ミドル、ヤング関係なく、人と会ったり話したり、それだけでも悩みがスッキリすることもあるじゃないですか。それを日常の中に作りたいと思ったんです。本当は1週間ずっと開けたいですが、スタッフの負担もありますし。今私たちができる精一杯が月・水・金の開催です。

佐藤さん:僕は地域がよくなるには、自治会などの地縁団体と自発的に活動するボランティアやNPOなどの組織が手をつなぐことが大切だと思っています。僕自身、自治会会長や書記を通算5年間経験して全力で取り組んできました。僕たちが取り組んでいる安否確認やサロンは本来自治会がやるべきだと思いますが、輪番制やあて職になっている組織では取り組んでいくのはなかなか難しいわけです。ですから、ポイントは、自発的にやれるボランティアやNPOをどれだけ増やせるかということであり、地域住民の持っているエネルギーを余さず汲みつくしていくということが大切だと思っています。

 

質問:世代間のギャップはあると思うのですが、そこを埋めるために工夫をしてますか?

佐藤さん:僕たちは若い人たちがどう地域に参加してもらうかを考えて、これまでいろんな試みをしてきました。失敗が多かったですけど、これから大事なのはイベントだと思っています。私たちの活動の大半が高齢者向けで終わっていて、若い人向けの活動は本当に少ないわけですから、若い人たちとのつながりができるわけがないと言えると思います。それで、例えば、バーベキューを毎月やるなど若い人たちが参加しやすいイベントを積み重ねていかいくことが大切と思っています。

茂上さん:私たちは運営会議を月1回やっているんです。8人メンバーがいて、私の世代は2人で、6人は皆さんシニア世代です。
全員で共有しているのは、否定をしないことです。なるほど、と受け止めて相手の意見を尊重するということを大事にしてます。私たちの世代で気づかないことをシニア世代は普通に気づいてくれるんです。逆に、SNSなどシニア世代が苦手なことは、私たち世代が得意だったりします。お互いの配慮とか気遣いが大事だと思っています。

 

質問:若者だったり、シニアだったり、いろんな人たちが集まってくる秘訣について教えてください。

佐藤さん:いつ辞めてもいいということを保証しています。辞めても気が向いたら又来てくださいね、というスタンスは堅持しています。同じ地域の中で、活動を通じて日常的なつながりを持っているということはどれだけ素晴らしくて幸せなことかということを知って欲しいなと思います。

茂上さん「まるっと。マルシェ」というイベントを年に1回やっているんですが、コミュニティサロンだけでは出会えない方との出会いもあります。特別なイベントをすることで、地域で閉じこもりになっていたような方が出てきてくれたりもしています。そこでの出会いが「まるっと。サロン」への参加につながったりします。

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テーマ2:関心を寄せ合いつながる 地域の居場所

歩いて行けるご近所さん同士などが、関心を持ち寄って集える、気軽に訪れたくなる場はどう作る?
キーワード:#ご近所 #コミュニティ

▼登壇団体

大阪市東淀川区「東淀シニアお元気活動サート協会」

東大阪市「山麓和の会」

富田林市「わっく金剛」

写真左から「東淀シニアお元気活動サポート協会」山本聖也さん、「山麓和の会」柳瀬豊子さん、「わっく金剛」岡本聡子さん

 

各団体の活動紹介動画は下記からご視聴ください。

▼東淀シニアお元気活動サポート協会
https://youtu.be/nlsQ9p9lh3E

▼山麓和の会
https://youtu.be/NRy8IFXaWtQ

▼わっく金剛
https://youtu.be/shOKne5Or-8

 

登壇団体同士での質疑応答

わっく金剛 岡本さん(以下、岡本さん):どんなメンバーで運営していますか?

東淀シニアお元気活動サポート協会 山本さん(以下、山本さん):5人から立ち上げをしました。地域の区役所の方、看護師の方、元々地域でシニアに関わっているお仕事の方などに協力をしてもらって団体を立ち上げました。
協賛会員という関わりの人もいまして、10人くらいの麻雀に参加してくれている人たちが、「いつも参加するから!」と毎回の参加費でなくて協賛会員として参加するようになってくれています。年代は70代から、最高齢は89歳の方です。

山麓和の会 柳瀬さん(以下、柳瀬さん):活動をスタートしたときは、東大阪市の総合事業を受けて、自宅を開放して集いの場を開きました。会員の方は10人くらいです。

 

柳瀬さん:プロボノの支援で作ったチラシやリーフレットを活用した成果について教えてください。

山本さん:プロボノチームのメンバーが1人ずつ案を作ってくれました。活動しているサロンの上階には1460世帯のマンションあるので、まずポスティングしてみて反応をみてみました。数字は測れていないんですが、気になって見に来られる方が増えています。

岡本さん:まだリーフレットは作成中の状況ですが、イベントでの配布だったり、「わっくカフェ」のことを紹介できるものになればと思っています。
いま制作中ですが、一番よかったのが、その過程で関わっているみんなが思っていることや目指したいものが違うことが明らかになってきていて、その過程がすごくありがたいと思っています。

 

山本さん:いろんな催しをされていますが、内容はどうやって決めていますか?

岡本さん:誰でも集える常設の拠点をどうやって作るか?というのはまずみんなで勉強しました。そこで選んだのが「日替わりのオーナー」の「カフェ」でした。そうすることで参加者が固定化しないのでは、と思いました。カフェで何をするのかはオーナーさんが決めてもらっています。

柳瀬さん:サロンは毎週木曜に開催していて、他の曜日は開けていないんです。本当はいつでも気軽に集える場にできたらと思っています。サロンでの取組は自分だけで決めるわけでなくて、関わる人の様子を見ながら聞きながらやっています。

 

参加者からの質問への回答

質問:活動資金について教えてください。

山本さん:助成金として大阪市社会福祉協議会のボランティア活動振興基金を活用しています。それ以外は、自分自身が個人で請け負っているスマホ教室の収入の一部を資金にしたり、看護師さんが実施する健康測定会には参加費をいただいています。

柳瀬さん:東大阪市の総合事業を受けて実施しており、市からの補助金をいただいているので持ち出しはありませんが、皆さんボランティアで参加しているので、人件費はかかっていません。

岡本さん:「わっくカフェ」の立ち上げ資金として市の補助金をいただきました。その他、スタートアップの資金としてちょうどコロナ禍の経済対策で特別定額給付金(10万円)が支給されたタイミングだったので、立ち上げの8人が1人ずつ10万円出し合ってます。
あとは日替わりオーナーをされる方からカフェの利用料として1枠3000円をいただいています。またカフェの壁面に自由に作品を販売できるボックスショップも設けていて、そこもオーナー制を導入して、1箱1ヶ月1000円をいただいています。

 

質問:楽しく続けるのは共通するキーワードのように感じますが、モチベーションの上げ方や維持について意識されていることはありますか?

岡本さん:「わっくカフェ」の名前の由来として、ワクワクする場を作りたいね、というところから始まっています。続けるために大事なことですが、無理しない程度にそこそこ楽しむ、というのは意識してます。

柳瀬さん:思い込みですね。活動を始める前に舅を今の家で看ていた中で、家が広すぎるので、地域の中で活かせたらという思い込みが続いているような感じです。

山本さん:いろんな方とのご縁がいただけて、自分が必要と言ってもらえる感じがする嬉しさがあります。話をしているとカナダでスマホ教室をやっている人とつなげてもらえることができたり、いろんな人に出会えていることが一番です。

 

質問:地域の居場所を作りたいという声はよくありますけど、どんなふうに地域の声を拾ったのでしょうか?

岡本さん:富田林市が主催のまちづくりのワークショップに参加している人たちの声からプロジェクトチームを立ち上げていきました。

柳瀬さん:場所ってあればいいと思われるかもしれませんが、道が狭くて奥まっている場所ですし、来てもらおうと思ったら本当に繋がりしかないんです。誰かの声かけで誰かが来てくれている状況です。

山本さん:2つあるのですが、1つは定期的に異業種の方と話す中でお悩みごとを聞いています。以前に携帯ショップで働いていたので、教えるのが当たり前になっていたんですけど、他の方からするとそれは当たり前でなくて、教えることに価値があることがわかりました。もう1つは自分の祖母のことです。祖母が楽しみにしてたグランドゴルフの日に雨が降って「あるかないかわからんから行ってくるわ」と出ていって10分後に戻ってきたら「中止やった」と。なんで中止とわかったかというと、代表が雨のなか傘を差してずっと待っていたということがあって、なんとかできないかと思いました。

質問:男性の参加を促すことに工夫していることはありますか?

柳瀬さん:男性は確かに出てこられにくいんですが、作品展をしたあとくらいから女性とも気軽に打ち解ける明るい男性が2名ほど来てくれています。

山本さん:わかりやすくやってみたことは男性限定のイベントを実施したことです。スマホ教室でも男性だけ、ということもやってみました。あとは麻雀教室では男性が最初にやり出して、途中から入ってくる女性に教えるという「役割」が生まれていました。

岡本さん:「役割」というのはキーワードだと思います。カレー食堂隊長だったり、メンテナンスの係であったり、あと「買い出し係」と言わずに「在庫管理」担当という名前で役割を決めたこともあります。一番の出来事は名刺を作ったら、チラシと名刺を持ってあちこち宣伝してくれた人もいました。

 

質問:居場所の参加者が固定化することもありますが、途中から参加する人への配慮や誰でも参加しやすい空気づくりのヒントが欲しいです。

岡本さん:日替わりオーナーさんが知り合いと連れてくることで、毎日が違う雰囲気になるような仕組みにしています。

柳瀬さん:固定化しても、つながりは大事なのであまり気にせずぼちぼちやっています。

山本さん:テーマと人が変わると参加者の層も変わると思います。スマホ教室では新しい参加者がわからないことを最初に言ってくれると、以前から参加している人にとっても新しい気づきにもなるので気軽に来て欲しいと伝えています。

 

質問:サロンの開催頻度はどのようにして決めることが多いですか?

山本さん:イベントしたい人が前月にカレンダーで希望を提出してもらっています。

柳瀬さん:いろんな日に活動するといつやっているのか分からなくなるので毎週木曜を固定としています。また2月から毎週火曜日には会員制で生命の貯蓄体操を開催しています。

岡本さん:気軽に集える常設の拠点を目指しているので、火曜〜土曜は必ず開けています。

 

質問:山本さんが取り組んでいるスマホ教室についてどんな内容で実施しているのか教えてください。

山本さん:テーマを決めてやってますね。例えば最初はLINEの基本から、文字をちゃんと送りましょうとか、直接会える人と友達になりましょうとか、 1年経ってみたら何ができることが増えた、という形です。終わったあとは個別相談に乗っています。
参加者からは「離れている家族とやっと連絡が取れるようになった」「テレビ電話ができるようになったのが楽しい」など嬉しい声をいただいています。

 

質問:これからの夢や野望について教えてください。

山本さん:スマホ教室を全国に作っていって、スマホ講師をシニアの方が仕事にできたらいいなと思っています。

柳瀬さん:野望なんてないですよ。今日は山本さんと会えてスマホの問題が1つ解決して、あーここに来てよかったと思ってます。

岡本さん:居場所として「わっくカフェ」でいろんなオーナーさんが不思議なお店が開いて、どんどん変容していく姿をコーヒー飲みながら見て笑っていたいですね。

質問:最後にコメントをお願いします。

岡本さん:歩いてカフェに来てくれる人たちは、近隣の方が中心ですが、まちづくりの担い手は、このまちの住民以外の人でもできます。わっくカフェではそんな人を募集してますので興味ある方はぜひお声がけください。

柳瀬さん:今日、良い方々と一緒に話ができたことと、普段一緒に活動している方も参加してくれたことがありがたいなと思いました。

山本さん:それぞれで居場所づくりの取組が全然違ったのが印象的でした。活動を始めた頃はシニアの方々に何かしてあげたいという思いが最初はあったんですが、やっているとそれは大きなお世話!といっぱい言われてきました。なので、シニアの方にもいっぱい頼ったら助けてもらえますし、助けを求めたらシニアの方も元気になっていくのではと思っています。

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テーマ3:新たな活動で、地域とつながる

コロナ禍での活動のピンチを乗り越え、地域での困りごと解決や活性化に向け、新たな取組みを生み出すには?
キーワード:#課題解決 #多様な主体

▼登壇団体

富田林市「ゲキトモエンターテイメント」

吹田市「友友」

東大阪市「はっぴぃ21福祉会」

写真左から「はっぴぃ21福祉会」森美絵さん、「友-友」川口雅香子さん、「ゲキトモエンターテイメント」谷川理恵さん

 

各団体の活動紹介動画は下記からご視聴ください。

▼ゲキトモエンターテイメント
https://youtu.be/4XIA1obLsRw

▼友
https://youtu.be/aiVfh3XHRVc

▼はっぴぃ21福祉会
https://youtu.be/Q2eaqnoVkEk

 

登壇団体同士での質疑応答

ゲキトモエンターテイメント 谷川さん(以下、谷川さん):プロボノ支援を受ける前と後でどう変わりましたか?

川口さん(以下、川口さん):チラシを作ってもらったのでこちらから声をかけやすくなりました。お助けする人の声が見えるようになってきました。ちょっとずつ利用者も増えてきています。

はっぴぃ21福祉会 森さん(以下、森さん):プロボノチームの方は地域の意外なつながりができました。老人クラブの方からは障がいの方とも連携したいとか、校区福祉員の方も高齢だけでなく障がいのことも考えたいという声を聞くことができて、今までのつながりや発想になかったことでした。

谷川さん:私たちの団体では目の前の課題に対して必死に活動していることについて「これはすごいことやってますよ」と客観的な視点でコメントをもらえたことで自信になりましたし、今後のことを考えることにもつながりました。

川口さん:これまでずっと高齢者向けの配食に取り組んできましたけど、子どもや若い世代のお母さんなどの世代が集まるサロンもしたいと考えています。高齢者の方も一緒に多世代交流会になればと思ったりするけど、大勢で集まる場はどうしたらできるのか?ということを聞きたいです。

谷川さん:居場所事業を5年くらいやっています。その場所自体は若者のための居場所が目的なのですが、誰でも来ていいよ、という場所なんです。地域の高齢者の方もちょっとお散歩のついでに来たり、自販機でジュース飲みながら若い人たちと商品について話したり、という光景が日常になっています。私たちが気をつけているのが、子どもだからとか年寄りだから、という分け方をしてなくて、ただそこにいる人という意識です。そこにいる〇〇さんが来てくれて嬉しい、という感覚で、誰でも受け入れるということは大事にしています。
たまたま高校も近いので、その学生さんがよく来てくれるんですが、小さいお子さん連れのお母さんが遊びに来ていると、ゲームや将棋など自由に使えるフリースペースで、たまたまそこにいた高校生のお兄ちゃんお姉ちゃんが一緒に子どもとゲームをして遊んだり、という光景もあります。
スタッフは来ている人たちとコミュニケーションをとっているので、「実はこの人、将棋上手なんですよ」と声かけて、ちょっと興味がありそうな子どもと一緒に対局してもらったりということを促すこともあります。「スマホの使い方がわからん」という人がいたら、近くにいる高校生に「ちょっと教えてくれへん?」とつないだりもします。そんな形で色々と繋いでみたら、私たちがいなくても、まちなかで挨拶するような関係になったりしているので、この場所をきっかけに、私たちが地域のおせっかいおばちゃんみたいに人をマッチングしているようなことをやってます。

森さん:今回のプロボノによる支援の成果物の中でアイデアをいただいているのですが、地域の中の活動に顔を出してみたり、例えばクリスマス会の参加に声をかけてみたり、老人会さんから、こんなイベントあるよ、と声をかけてもらっているので直接、顔を出して関係性を作っていけたらと思っています。

森さん:友-友の川口さんへ質問です。ボランティアさんがやりがいを持って継続されるためにどんな工夫や意識をされていますか?いまボランティアさんは関わってもらっていないのですが、今後、ご一緒できる人がいたらと思っているところです。

川口さん:私が一番気をつけていることは、とにかく笑う、とにかく楽しむということです。
ボランティアさんは今50人くらい参加してくれていて、1日に3人くらいに来てもらうのですが、曜日によってメンバーが変わります。「またあの人と会いたいわ」という声もあったりしますし、ボランティアさん同士で休みの日は一緒に山登り行くくらい仲良くなっていたりします。
お弁当を配って利用者の方に喜んでもらえるというのもありますが、人と会って楽しいというのが根本にあると思います。

 

森さん:ゲキトモエンターテイメントの谷川さんへ質問です。元々、演劇活動をメインにされていて、コロナによって活動が変わっていった時にどのように周知をされましたか?

谷川さん:緊急事態宣言中は施設も休館になってしまったのですが、YouTubeライブ配信をやってみました。子ども食堂に登録している人たちに向けて「いま野菜切ってます」「お好み焼きしてます」など、私たちが食事を準備しているところを配信しました。
また、オープンに配信することもありました。「今これだけのものが必要で困ってます。助けて欲しい」など、まめに配信をしているとご近所の飲食店の方が「うちにある食材、持っていくわ」と声をかけてくれたりしました。20〜30代の若い世代のスタッフが、スマホを使ってInstagramやTikTokなどで配信をしました。
緊急事態宣言中、ピークの時は150人くらいの学生さんや若い人たちがアルバイトをできなくなっていた状況でした。今日食べるものがない、家に帰っても暖房をつけられない、生理用品が買えないという人もいました。こちらからは大学や専門学校にも周知したり、飲食店の関係の方々にも声をかけて回ったり一生懸命に動いていきました。コロナが落ち着いた今でも30人くらいの学生さんに食べ物を配っているんですが、今でも近所の方から食料を持ってきてくれたりしているのは、色々と発信をやってきたからだと思います。

 

参加者からの質問への回答

質問:生活支援コーディネーターとして活動しています。高齢者が集う場だったり、体操の後にお茶をしたり、みんなでお弁当を食べたりできたらいいなと思うのですが、どう繋げていけばいいでしょうか?

森さん:老人クラブさんとのコラボができるようになったのも、東大阪市社会福祉協議会のコミュニティワーカーさんの存在が大きかったです。プロボノチームの皆さんからの支援を通じてコミュニティワーカーさんとつながることができたことで、そこから紹介をしていただけたのが大きかったと思いました。

川口さん:配食については今年の3月で吹田市から委託事業が終わることになるので、自分たちで広めていかないといけません。その中で500円での試食会の開催について声をかけていると、あるマンションの管理人さんは掲示板に掲載してもらえました。すると、マンションの仲良しさんが集まってくれて試食会に来てくれて、そこから集会室などでご飯を食べながら喋りたいねと昼食会を開くときにお弁当を配達して欲しいという声も上がりました。

谷川さん:つながりをつくるときに「ツール」があることが大事だと思っています。例えば、子ども食堂は、生活に困っている若者たちに何か美味しいものを食べて欲しい地域の方をつなげる「ツール」になっていました。地域の高齢者と若い人が一緒に調理をする際は、例えばカレーを作る時も、時期によって野菜が違うので、このじゃがいも大きいね、とか、この大根ちょっと変わった形だねと言ってキャッキャと楽しみながら切り刻んでいってましたし、野菜が「ツール」になっているんです。
そういった多種多様なツールを活かしてそれを通じて仲良くなれるような仕掛けを用意していくと面白いんじゃないかなと思います。
だからその人が得意なことを把握するということは必要ですし、困っている人がどうやったら笑うんかな、どんな瞬間に笑顔になるんかなと考えて、そのためのツールをゲーム感覚で探していますね。

 

質問:活動資金について教えてください。

谷川さん:活動を始めたころは補助金や助成金での活動を3〜4年続けてきました。今は私の講演会収入もありますが、主な収入源は行政からの委託事業で、年間で1000万円弱ほどです。
プロボノチームからの支援を受けていて、ゲキトモエンターテイメントとして、今後は地域の方が何か始めるときに教える側になってもいいんじゃないか?ということもアドバイスをいただきました。次の取組としてそういったサポートもしていけたらと思っています。

川口さん:活動が始まった頃は、会費をみんなで払って活動していて、家賃がかからないように地域の集会所を使っていました。そこから創業者が大阪府と吹田市へ働きかけをして補助金をいただけるようになりましたが、数年前に大阪府からの補助金がなくなり、今年度で吹田市の補助金もなくなることになりました。今後も団体を継続するためには、地域の方々に「友-友」の存在を知ってもらって、例えば地域の事業者さんに会員になっていただきたいと思いますし、事業者側のメリットとしては、こちらから会議にお弁当を届けたり、課題があれば相談に乗ることができたり、ということを考えています。

森さん:就労継続支援B型の作業所なので、補助金に加えて、利用者さんにお仕事をしてもらってそこから得た収益を工賃として利用者さんに還元しています。利用者さんに工賃が発生しない仕事ばかりだと、継続性が厳しいので、関わる方みなさんがwin-winになれるようにバランスを考えていくことが大事だと思っています。

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